「問題解決」を考える
悩みや問題を考えることについては今までにいろいろ書いていますが、「悩みや問題があってもそれなりに幸せに暮らす」というような、問題解決以外の方法を主に書いてきました。
すごく悩むような問題はそんなに簡単には解決できない(簡単に解決できるような問題なら最初からそんなに悩まない)、(今の)自分にはどうしようもない解決できない問題もある、というような考えからです。
このページの内容を「問題解決のヒント」のほうに整理しました。
ここでは、もう少し問題解決に役立つ方法を考えてみようと思います。
1.問題化しない
2.動いて解決を目指す
3.じっくり考えて解決を目指す
4.目標設定
5.いろんな答えを探す
6.得意な方法をもつ
7.深く考える
8.休み休み考える
9.決断するための考え方
10.問題解決?
付.紙に書いて考える
1.問題化しない
問題解決の第一の方法は、「問題化しない」ことだと思っています。
簡単に言えば、その問題を考えない方法です。
自分が考えさえしなければ何も問題がないことがあります。
自分ではどうしようもない問題もあります。今は何もできない問題もあります。
一年たったら忘れてしまうような小さい問題もあります。
このような問題は考えないほうがいいと思うのです。
問題化しない具体的な方法は、「現実は現実(考えてもしかたがない)」「こんな人もいる」「こんな事/こんな人のために悩むのはもったいない」「このままでもいいか」「まぁいいか」「ハオハオ」などのひと言でかたづけ、それ以上そのことを考えるのはやめることです。
ふと考えてしまっても、それに気づいて考えをストップできればいいのです。「こんなことを考えるより、他にやりたいことや考えたいことがあるのではないか?」のように考えるのもいいと思います。
「問題化しない」メリットは、まずその事を問題化しないことにより、何もしなくても(考えなくても)よくなるのです。問題化するとその解決がうまくできない限り、悩み苦しまなければなりません。また、その事を考えていたはずの時間を他のことに使えるというメリットも大きいのです。
私はできるだけ問題化しないうほうがいいと思っています。「まぁいいか」「ハオハオ」などで済ますことができるのなら、それが最善の方法だと思うのです。
悩む時間が減れば、それだけ幸せを感じられる時間ややりたいことをやれる時間を増やせるのではないでしょうか。
もちろん、よく考えたほうがいい問題もあります。
問題化しないための考え方
次のように考えてみると、問題化しなくてもすむことがわかるかもしれません。
「自分が考えさえしなければ何も問題はないのではないか?」
実際に、自分が考えなければ問題がないことはけっこうあります。たとえば、自分の性格の問題や、人がどう思うかを気にすることなどです。他にも「考えすぎなのではないか?」「考えても考えなくても大して変わらないのではないか?」などと考えてみるのもいいと思います。
「時間がたてば自然に解消する問題ではないか?」
こういうこともけっこうあります。たとえば、ミスや失敗をしてしまったり、悪いウワサを立てられた場合です。
また極端な話をすれば、人間関係の問題も、何年か後には離れてしまう人がほとんどではないでしょうか。そう考えられれば、「それまでは我慢」という手も考えられます。
「1年たったら忘れてしまうような小さい問題ではないか?」
多くのことは1年たったら忘れてしまうのではないでしょうか。どうせ忘れてしまうのなら、考えなくてもいっしょではないでしょうか。
「(何もしない場合に)予想される悪い結果になってもかまわないのではないか?」
たとえば、「そんなにうまくできなくてもいいんじゃないか」「人にどう思われようがかまわない」のように考えられればいいのです。何もしなくても、そんなに悪くはならないことも多いと思います。また、「その時はその時」や「なるようになる」と考えられれば、これ以上心配しなくもいいわけです。
「どうしようもない問題なのではないか?」
たとえば、自分の容姿の問題や人の問題など、自分の力ではどうしようもないことがあります。すぐにはできないことも、今の自分にはまだできないこともあります。また、起こってしまった過去の出来事は変えられません。
「こんなことを考えるより、他にやりたいことや考えたいことがあるのではないか?」
自分のやりたいことや大切なものがある人は、それを大事に考え、そのために時間とパワーを使ったほうがいいことも多いと思います。
感情に流されない
問題化しないためのキーポイントは、悪い感情に流されないことではないかと思います。
イヤなことがあるとそれが頭のどこかに残り、つい思いだしてまたイヤな気もちになってしまいます。そして、イヤな気もちになった原因(悪者)探しをしてしまいます。人のことを悪く思ったり、自分の悪い所を考えたりしてしまいます。そういうことを考え続けると、自分の頭の中で無視できない問題になってしまうのです。
そのことを考えさえしなければ、問題化しないし、いつか忘れてしまうものです。
ふと思いだしてしまうのはしかたがありません。無意識にですから。
イヤな気もちに気づいて、その時の考えをストップし、方向転換できれば問題化しなくてすみます。
たとえば、人間関係の問題では「いっしょにいない時には、イヤな人のことは考えない」「余計なことは考えない」ようにしたほうがいいのです。
できれば、「何かいいことを始めよう」と考えられたら、と思います。
悪い感情に流されたまま悪い考えを続けてしまうから、いつのまにか問題を抱えてしまうのです。イヤな事があっても、後々そのことを考えなければ問題にはならないのです。
「問題化しないのがいちばん」「悪い感情に流されないようにしよう」という意識をもつことが大事だと思います。
2.動いて解決を目指す
問題解決のアプローチのしかたとして、「動いて解決を目指す」方法と「じっくり考えて解決を目指す」方法があると思います。
その問題によってアプローチのしかたを変えることができたら、と思います。
問題について考えて、こうしたらいいのではないかと思ったら、まずやってみればいいのです。
やってみればうまくいくかもしれないことを、うまくいかなかったらどうしようなどと考えていても悩ましいだけの場合があります。
いくら考えてもわからないこと(たとえば、人がどう思いどう反応するかなど)は、「試しにやってみよう」という気もちでやってみればわかるのです。たとえば、人が「○○してくれない」「××するのがイヤ」などと不満を抱えて過ごすよりも、まず「頼んでみる/自分からお願いする」ことをしてみればいいでしょう。
やればうまくいくかもしれないのです。やらなければいつまでも悩ましいままです。「案ずるより産むが易し」ということが実際によくあるのです。
うまくいかなくても、次へつなげることができるはずです。やってみた感じや結果を次にうまくやるためのいい材料にすることができるのではないでしょうか。
私は、「現実は現実。(どうしたい?)○○たらいいな。では、どうしたら?」という3Hの考え方ができるようになってから、小さい問題の解決が早くできることが多くなりました。
自分がどうしたいかをはっきりさせ、そのためにはどうしたらいいかを考えるようにするだけです。そうすればたいていは、「こうすればいいのではないか」ということが思いつきます。思いついたらそれをやってみればいいのです。
ちょっと考えればすぐにわかることもあるはずです。
たとえば、大切な人とケンカをしてしまった場合には、「まず自分から」と謝ったり仲直りを提案すればいいのです。
やるなら早いほうがいいこともあります。謝る、お礼をするなど。
緊急性がある場合もあります。危機から逃れる、応急手当てが必要など。そんな時には余計なことを考えていないで、とりあえずできることをやるのが重要です。
すごくつらい時には問題解決よりも自分を助けることが必要な場合もあります。少しでもラクになれる方法を考えたほうがいい時もあります。
心が傷ついている時には応急手当てをして、心が疲れ切っている時には休んでから、少しよくなって心身の力が戻ってから、本格的な問題解決を目指したほうがいいでしょう。
何をすればいいかはわかっている場合もあります。
たとえば、目標に向かって努力すること。立ち止まったまま余計なことを考えていないで、前進したほうがいいのです。やめるかやめないかは歩きながら考えればいいのです。ある程度やってみてから考えたほうがいいこともあります。
また、悩みがあるからと言って、やるべきことをやらないのもよくありません。
やれることがある時には、「まず動く」ことをしてみればいいのです。
動きだしてみれば、案外勢いでそのままできてしまうこともあります。
うまくいかなくても、そこからまた動き直せばいいのです。
動き続ければ、いつかはゴールにたどりつけるはずです。
動いて解決を目指す考え方
動いて解決を目指す方法はいろいろあります。次のような考え方ができれば、動けることも増えると思います。
「ダメ元(ダメで元々)」
うまくいくかどうかいつまでも心配していてもしかたがありません。やればうまくいくかもしれないのです。
心配し続けるよりも、やって一度失敗したほうがラクかもしれません。「失敗覚悟」でやってみてもいいのではないでしょうか。
「あの手この手」
いろんな方法でやってみればいいのです。そのうちのどれかが当たればいいのです。
「試行錯誤する」というのは、多くの研究者も使う、立派な方法なのです。
「トライ(アル)&エラー」
やってみなければわからないことがあります。やってみてはじめてわかる課題があります。それを一つ一つ克服していくことで成功に近づけるのです。
ヘタに考えているよりも、トライ&エラーをどんどん繰り返したほうが早い場合があります。障害物があってもこれがいちばん近道かもしれません。
「押しの一手」
何回も押せばいいのです。それで、少しずつ動かせばいいのです。一挙に動かそうなどと無理はしないほうがいいのです。
たとえば、人の心もそうです。ふつう仕事などでは、交渉を重ねるはずです。
「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」
一発も撃たなければ絶対に当たらないのです。撃てばそれだけ当たる可能性は高くなるのです。
相手がどこにいるかわからない時には、いくら狙っても意味がないのです。少しでも居そうな所をどんどん探せば、きっといつかいい出会いもあるのではないでしょうか。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ということもあります。実際の問題では、「虎の穴に入るわけでもあるまいし、死ぬわけでもないから、思い切ってやってみよう」のように考えられたら、と思います。
「いい経験をするつもりで」
「いい経験をするつもりで」と考えれば、失敗を恐れずにできることもあると思います。失敗しても、それで落ち込んでしまうか、いい経験にできるかは自分しだいだと思うのです。
「歩きながら考える」
何かを始め、やりながら考えていくほうがいい場合もあります。
動いて解決を目指すためのポイント
動いて解決を目指すポイントは、「とにかく、今できることをやろう」と考えることだと思います。やってみれば、すぐにできることもあります。考えているよりも少しでも前進したほうがいい場合が多いのです。
「一度やってみてから、また考えよう」でもいいのです。
やってみる。その結果、もしかしたら好!好!
結果が悪くてもハオハオ、次はどうしたい?
解決したいのなら、経験したことをヒントに考えればいい。
解決をあきらめるのなら、何か他の(いい)ことをすればいいのです。
いくら考えても、いくら本を読んでもわからないことがあります。わからないから不安になるし、考えすぎて苦しくなってしまうのです。
とにかく何かをやってみれば、わからない不安は減るし、考えるいいヒントも見つかるのです。
不安にならないため、考えすぎないため、悩み苦しまないためにも、動いたほうがいいのです。
相田みつをさんも言っています。「動いてごらん」
人生の中で、一発勝負ということはめったにありません。
一度の失敗はそれで終わりではなく、始まりや次へのステップです。
「失敗してもハオハオ、今どうしたい? ○○たらいいな。ではどうしたら?」と、失敗にめげない自分を目指せばいいのです。
失敗経験をどう活かすかは自分しだいだと思うのです。
少なくとも失敗の経験をすれば、多少は失敗に強くなり、少しは我慢強くなれるのではないでしょうか。失敗を経験していない人は、いつまでたっても失敗に弱く、失敗に耐えられないのではないでしょうか。失敗を恐れて何もできなくなってしまう人もいます。
動くことで少しだけでも解決に近づけます。
動いていれば余計なことを考えないで(悩み苦しまずに)すみます。
動いていればある種の安心感も生まれます。
動けばいい経験ができます。経験を積むことで、上達したり能力を高め、学んだり成長できるのです。それが、いい結果につながり、自信ももてるのではないでしょうか。いい経験を積めば、それだけ解決できる問題も多くなるでしょう。
片づけられる問題は早く片づけることが、抱えている問題を少なくし、悩みの時間を減らし、幸せに過ごす時間を増やすことになるのです。少しでもできそうな気がしたら、まず動いてみたほうがいいのです。
「動いて考える」か「じっくり考える」か、どちらをしやすいかは人のタイプもあると思いますが、動いて解決を目指せる人のほうが悩むことは少ないと思います。
3.じっくり考えて解決を目指す
重要な問題は時間をかけてじっくり考えたほうがいいでしょう。
そのためには、まず、「悩みや問題があることはハオハオ(しかたがない、当然、あってもいい)」と考え、(まだ解決できない)問題があることを苦にしたりあせったりしないことです。
そして、「解決したらいいな」ぐらいに、ちょっと力を抜くことができたら、と思います。
そして、「どうしたら?」と落ちついて解決法を考えることです。
あせらず、ちょっと力を抜いて、落ちついて考えるというのは、当たり前のことですが、それがなかなかできないから悩み苦しんでしまうのではないでしょうか。
紙に書いて考える
じっくり考えるための方法としていちばんおすすめしたいのは、「紙に書いて考える」方法です。
紙に書くことで問題の内容と自分の考えが整理でき、集中して考えることができます。
紙に書く内容は自由でいいのですが、たとえば、
・問題は何か?(現実は、嘆いていてもしかたがない。ハオハオと受け入れる)
・自分はどうしたいのか?(それがわからないと始まらない)
・どういう答え/方法/選択が考えられるか?
他にもいろいろあります。紙に書いたらいい項目については、このページの中で逐次紹介しています。また、このページの最後に付録として「紙に書いて考える」をまとめました。
堂々巡りはやめよう
「じっくり考える」と言っても、ただ時間をかければいいということではありません。時間をかけてもかけなくても同じような考えしかできないのであれば、時間のムダです。『くよくよしない考え方』には「堂々巡りはやめよう」ということを書きました。
迷うことがあるのは当たり前です。問題なのは迷い方です。迷い方にはヘタな迷い方といい迷い方があります。
ヘタな迷い方の代表は、考えの「堂々巡り」です。まったく同じことを同じように考えて、同じように迷って同じように悩ましい思いをしてしまうこと。それを何度も繰り返してしまうことです。それでは悩ましい時間と回数が増えるだけで、決断できない状況は何も変わりません。
いい迷い方は、少しでも違う考え方をしようと心がけます。「他に違う考え方はないだろうか?」「考えに何か足りないものがあるんじゃないか?」「自分の考えに間違いや思いこみがあるかもしれない」「自分が考える選択以外の可能性もあるんじゃないか?」など。とにかく「堂々巡りはやめよう」と意識できれば、何か工夫できるはずです。
毎回ぜんぜん違う考え方をしようということではありません。前と少しでも違う考えができればいいのです。紙に書いて考える時には、少しでも新たに書き加えることができればいいのです。
『くよくよしない考え方』には、堂々巡りを避けるために役に立つ方法も紹介してあります。
期限を決める
答えを出す期限が決まっている場合には、それを守るようにしなければなりません。できれば、計画的に、余裕をもって考えを進めることができたらいいでしょう。
期限が特にない場合にも、自分なりの期限を決めるのはいい方法です。期限に迫られないとなかなか答えを決められない人も多いのではないでしょうか。
この場合には、期限がきても、再度期限を延長することも可能です。
期限を明確にするメリットには、次のようなものがあります。
今すぐに決めなくてもいいということで、心の余裕をもつことができます。あせって考えないほうがいいのです。
でも、期限があるからという緊張感もあり、集中して考えることができるでしょう。だらだらと考えないほうがいいのです。
もちろん、期限を守れない場合の損失やリスクを回避するという本来のメリットもあります。
期限がはっきりしていない場合に、なかなか決断できないために、結果として第三の選択をしてしまう場合があります。
第三の選択に注意し、必要な時には決断しなければなりません。
紙に書いて考える時には、期限は目立つように書いたほうがいいでしょう。
4.目標設定
問題解決には目標設定が必要だと思います。
悩みや問題について、ただ成り行き任せに考えていても答えはなかなか出てきません。
たとえば、仕事や人間関係でこういう問題がある、こういうことが不満だ、自分は恵まれていないなどと、現実を嘆いたり不満やグチを思ったりするだけだったり。人が自分に××する、人が○○してくれない、あの人(のここ)が悪い、あの人のせいだ、許せない、憎いなどと、人のことを悪く考えるだけだったり。自分は○○ができない、○○が苦手、自分は弱い、自分はダメだなどと、自分を悪く考えるだけだったり。悪い出来事を想い出して、悲しい、悔しい、忘れられないなどと、過去のことを考えるだけだったり。どうしたらいいかわからない、夢や生きがいややりたいことが見つからない、希望がもてない、幸せになる考え方やくよくよしない考え方ができないなどと、あきらめてしまったり。
成り行き任せの考えだと、このような考えになりがちです。
その問題がどうなったら自分にとっていいのかという目標があれば、それを目指した考えもできるのです。
そのためにはまず「自分はどうしたいのか?」を考えることだと思います。それがわかれば、「○○たらいいな。では、どうしたら?」と考えること(3Hの考え方)ができます。
紙に書いて考える場合には、目標は明確に書いておいたほうがいいでしょう。
と言っても、目標の設定のしかたが問題です。
自分の思い通りの理想的な解決を望んでも、そう簡単にはできないのです。だから悩んでしまうのでしょう。
無理な目標を設定しても、自分を苦しめるだけです。
現状と自分に合った問題解決の目標を設定できたら、と思うのです。
現実的な目標を設定する
現実的な目標を設定しないと、問題はいつまでたっても解決に向かって動きださずに、悩み苦しみ続けることになってしまいます。
たとえば、人間関係の問題で、こういうイヤな人がいてこういうイヤなことをすると嘆いているだけの人は、何も目標を設定していません。
考えられる目標は、1.イヤな相手をいなくする 2.イヤな相手を変える 3.イヤな思いをしてしまう自分を変える 4.自分がその場から離れる、の4つではないでしょうか。
1.のイヤな相手を自分の前からいなくすることはめったにできないでしょう。
2.のイヤな相手を変えることは極めて難しいでしょう。
3.の自分を変えるのには時間がかかるでしょう。
4.のそういう状況から逃れる、その人間関係をやめる方法はあるかもしれません。でも、それでは別の問題が発生することも考えられます。
さて、現実的な方法はどれでしょうか?
もちろん、イヤな相手を追い出すような方法もあるかもしれません。お願いしてみれば、相手が変わってくれるかもしれません。自分の考え方をちょっと変えればいいだけかもしれません。そんな関係はやめても何も問題ないかもしれません。
自分が可能性を感じられる目標を選べばいいでしょう。また、いろんな解決方法を考えられるのならそれもいいと思います。
いちばんよくないのは、解決方法はこれしかないと思い込んでしまうことだと思います。それも現実的でない目標を設定しまう場合です。
たとえば、こんなイヤな人が目の前からいなくならないと問題は解決しない、この人がすごくやさしくなってくれないと耐えられない、すぐに問題が解決しないと困るなどです。こんなふうに考えることはなくても、ただ悩み続けてしまう人の中にはそのように思い込んでいるような人が多い気がします。
一つの目標としては、「こんな(イヤな)人もいる。こういう人とはそれなりにつきあえばいい。そういう自分になれたらいいな。(時間をかけてなりたい自分になっていこう)では、どうしたら?」のように考えられたら、と思います。
いちばんの方法は「そのままでいい」という問題化しない方法だと思うのです。「相手はそのままでしかたがない(ハオハオ)。自分はこのままでもいい(好好)。そのままでも平気でいられたらいいな。では、どうしたら?(たとえば、「ハオハオ」を身につけよう)」と考えればいいわけです。
「そのままでいい」というのは現実を(相手も自分も)変えなくていいということです。自分の考え方を変える工夫と努力をすればいいのです。
不可能な願い(目標)をもっても、自分を苦しめるだけです。
たとえば、過去を変えることはできません。自分の性格や容姿を180度変えることはできないでしょう。自分の親や地元や生まれた国を変えることもできません。社会を変えることもそう簡単にはできません。
現実的な目標を明確にして、現実に問題を解決するための努力をすることが大切なのだと思います。問題解決に向けて何も努力ができないというのは、現実的な目標をもっていないからかもしれません。
5.いろんな答えを探す
問題を解決しようといくら考えてもなかなか答えが見つからない人の中には、理想的な答え一つだけしか考えられない人が多いような気がします。そういう人は、その答えが現実的でないと思われると、絶望的になって落ち込んでしまいます。
よく考えることはとても大切なことです。「堂々巡りはやめよう」のような心がけも必要だと思います。
でも、自分の頭の中だけで考えると行き詰まってしまうこともあるし、限界もあるような気がします。
そこで、いろんな答えを探すことが大事だと思うのです。
いろんな答えを考えてみれば、それだけ解決の方法も広がり、解決の可能性も高くなるでしょう。
いろんな答えを検討することで、一つの答えの良さがわかることもあります。
重大なことを考える時には、深い考えも大切ですが、広い考えも大切だと思うのです。
いろんな答えを探す方法について、考えてみることにします。
いろんな所を探し回りながら考える
いろんな答えを探すためには、自分の頭の中だけで考えるのではなく、いろんな所を探し回りながら考えるのがいいでしょう。
『くよくよしない考え方』では、やりたいことを探すヒントの一つとして「探す方法を考える」ということを書きましたが、同様の探し方ができます。
まず、本の中で探す。自分の抱えている悩みや問題に関することを書いた本が、探せばきっとあると思います。人生相談が書かれた本も探せばいっぱいあります。私は20冊ぐらいは持っています。著者も、作家/精神科医/教育者/法律家/宗教家/占い師などいろんな人が書いた本があります。新聞の人生相談が本になっているものもあります。
図書館や書店に行ってそういう本を見つけて、パラパラめくりながら、自分の問題を考えてみると、何か思いつくことがあるかもしれません。
ネット上を探す。自分の問題のキーワードを検索して探し回れば、何かヒントが見つかるかもしれません。少なくとも自分と同じ悩みを抱えた人や同じ思いをしている人がたくさんいることがわかるでしょう。
人生相談サイト(たとえば、悠々生活館)の過去の相談(ログ)を探せば、自分と同じ悩みの相談が見つかり、いいアドバイスに出会える可能性もあります。
もちろん、このHPで考えるヒントを探すのもいい方法です。
ただし、あくまでも「ヒント」を探すのです。答えを探そうとしてもピッタリの答えはなかなか見つからないと思います。「こういう考え方・方法もあるんだ」「ここの部分だけは参考になる」「この考え方は応用できるかも」「これは違うな。こんなことはやめよう」「私ならこう考える」などと考えられれば、十分ヒントになっていると思います。
いろんな所を探し回りながらいろいろ考えてみれば、自分なりの答えが見つかる可能性も高くなるでしょう。
人に相談する
いろんな答えを探すのに有効なのは、人に相談する方法でしょう。
自分以外の人の考えを聞いてみれば、自分に足りなかった考えが見つかりやすいのです。
自分と同じような問題を経験した人はたくさんいるはずです。経験者に聞いてみれば的を射たアドバイスが聞けるかもしれません。誰かに話を聞いてもらうだけでも心が落ちついたり、自分の考えが整理できたりすることもあります。人に相談する効果には、問題解決のヒントを得るほかに“心の癒し”もあります。
専門的なことは専門家に相談するのがいちばんです。心身の病気のことは医者に、行政(制度や手続きなど)に関することは役所などの窓口に、法律的なことは弁護士に、などです。
人に相談する方法には、直接会う以外にも、電話やメールやネット上のHPで相談する方法もあります。
たとえば、電話相談窓口ならセコムの生活情報・ヘルプデスクなどで調べることができます。
いろんな人の意見が聞けるということでは、ネット上の人生相談サイト(たとえば、「悠々生活館」)に相談を書き込むのも一つの手段です。ただし、いろんな参加者がいるので傷つくような言葉が返ってくる可能性もあります。「いい言葉は好!好! 悪い言葉はハオハオ」の心構えで利用すればいいと思います。
人に相談したくても、身近にいい相談相手がいない人も多いのではないでしょうか。そういう人も電話相談やネット上の人生相談サイトなら相談できます。
親身になって話を聞いてくれる人が身近にいる人は、それだけでも幸せだと思ったほうがいいでしょう。
などと書きつつ、私は人に相談することはほとんどありません。自分の力で対処したい、そのための考え方を工夫していこう、それが自分を育てるいい経験にもなるというような考えからです。
私と同じように、人に相談しない人もいていいと思いますが、本当に困った時には誰かに助けを求めたほうがいいと思います。
また、人に相談する時には、あくまでも自分で考えるヒントを得るためと考え、人の意見はどんな内容でもありがたく聞き、あとで自分でよく考えてみるという形をとったほうがいいでしょう。相談にのってくれた人への感謝も忘れずに。
6.得意な方法をもつ
自分の抱えている問題について考える時、あなたはどのような考え方をしているでしょうか?
「どのような?」と聞かれても、困ってしまう人も多いのではないでしょうか。
その問題毎に考え方が違う、良く言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりばったりの考え方をしているのではないでしょうか。それでいい答えが得られるのなら問題はないのでしょうが、行き当たりばったりでは考えが堂々巡りになりやすく、効率もよくないでしょう。
そこでおすすめしたいのは、自分の得意な方法(考え方や考えるヒントなど)をもつことです。自分に合った、自分の力になる方法を身につけることができたら、と思います。
得意な方法があれば、問題を落ちついて考えやすいし、効率よく考えられます。
ここでは、私の得意な方法を簡単に紹介することにします。それらは、私が役に立つと実感いる方法であり、おすすめしたい方法ですが、人には合う合わないがありますので、自分に合うと思う方法を取り入れて自分なりにアレンジしてもいいし、他の方法を工夫してもいいと思います。
得意な方法が多ければ、それだけいろんな問題に対処しやすくなるでしょう。
私がいちばんよく使うのは、「ハオハオ」です。「ハオハオ」だけで済ませてその分、幸せになれることをする時間を増やすのがいちばんだとも考えています。
「ハオハオ」はたった4文字の言葉ですが、その用途は広く、用法には深いものがあります。その辺については、現在執筆中の『ハオハオから始めよう』にまとめるつもりです。
簡単な問題や急ぐ問題でよく使うのが、3Hの考え方です。
重大な問題でも、次のように基本的なことを考え直したりします。
・落ちついて考えられないのは、「ハオハオ」(受け入れること)が足りないのではないか?
・問題解決の先が見えないのは、「ホープホープ」(どうしたいか)が足りないのではないか?
・答えが見つからないのは、「ハウハウ」(考えや工夫)が足りないのではないか?
私は考えに行き詰まった時には、5つの「幸せになる方法」をヒントに考えます。この5つが、私の考えの原点なのです。
5つの中に、その時に役立つヒントがきっとある、と私は信じています。
重大な問題を考える時、私はよく紙に書いて考えることをします。この方法については、このページの中でも所々で触れていますが、いずれまとめたいと思っています。
最後に、私の基本は幸せになる考え方を心がけることです。
この考えは不幸になる考え方ではないか? この場合の幸せになる考え方はどんなものだろうか? などと考えます。
実際には、ここに挙げた方法だけでなく、各問題によって臨機応変に考えますが、これらの方法を使うことで早く答えがだせたり、行き詰まりから抜けだすことができる場合が多いということです。
正直言って、すべての問題に万能な方法などはないと思うのです。
でも、得意な方法があるのとないのとでは、大違いだと思います。
自分なりのレパートリーを増やしていく
問題毎に役に立つ考え方やヒントがあります。こういう時にはこの考え方がいい、これを考える時にはこのヒントが役に立つというようなものです。自分の役に立つ方法がたくさんあれば、それだけ問題解決がスムーズにできるようになるでしょう。
私は問題を考え始める前に、「この問題は1年たったら忘れてしまうことではないか?」と考えます。もしそうなら、「これは小さい問題だから、考えない(問題化しない)か、軽く考えよう」と考えます。
私は、自分のイヤな気もちが強く続く時には、「○○すぎではないか?」と考えます。そして、「○○はいいこと、○○すぎるのはよくないこと」と考えることで、心が落ちつくことがあります。
私は、何か選択に迷った時には、「○○もよし、□□もよし」(「あっちもハオハオ、こっちもハオハオ」)の考え方ができるように心がけます。決断にあまり悩まなくて済みます。
また、決断をしたほうがいい時には、決断するために役に立つ考え方をヒントにします。
他にも、堂々巡りを避けるために役に立つ方法、やりたいことを見つけるヒント、希望を見いだすヒントなどがあれば、考える際に役立つでしょう。
このような問題毎の考え方やヒントを、一つ一つ身につけて、レパートリーを増やしていけたら、と思います。
このHPや本などから、自分の役に立ちそうな方法を見つけて、自分なりに工夫してみればいいと思います。
7.深く考える
いろんな答えを探す(広く考える)ことも大事ですが、一つ一つの答えをよく(深く)考えることも大事です。
ここでは、深く考えるためのいくつかの考え方を紹介することにします。
先の先を考える
一つの答えを選んだ時に、その先がどうなるかは誰もが考えるでしょう。
先を考える時にいちばんよくないのは、先の悪い状況や結果だけを想像して恐れてしまうことです。それでは、その答えはいつまでたっても選べません。悲観的な人はどんな答えを見つけても悪い結果を恐れてしまい、何もできなくなってしまいます。
まず、うまくいった時のことを考えるのが重要です。
うまくいった時の魅力がなければ、その答えには価値がありません。
うまくいった時のことを想い浮かべることで、ワクワク/ドキドキ/ホッとする/ラクになれるなどの幸せ(の予感)を感じられることが、それを実践する力になるのです。
夢や目標をもったら、その実現を想い続けることが大事なのです。問題解決の目標があるのなら、「この問題がこういうふうに解決したらいいな」と想えば、それを力ときっかけにして、その方法を考えることもできるでしょう。
そして、目標達成の先にある大きな幸せを想像できれば、なおいいでしょう。
うまくいかない時のことを考える場合には、その先を考えることが大事です。
うまくいかなくても、その次の手があるはずです。
うまくいかなかった経験を活かして、その対策を見つければ、それは一歩前進です。
一つのミスや失敗は、潔い謝り方が好感を与えたり、そのあとにどうカバーするかで名誉挽回できたり、返って信頼を得られることもあります。
また、悪い結果を事前に受け入れることができれば、もうそれほど恐れなくてすみます。「その時はその時」「そこからベストを尽くせばいい」「(長い目で見れば)いい経験になる」「なるようになる」などと考えられればいいのです。
もし、思いつく最悪の結果を受け入れることができれば、勇気をだして決断できるでしょう。
考えられる問題やトラブルについて、その対策、もしくは受け入れる覚悟ができれば、いろんな選択が可能になるでしょう。
将棋や囲碁では初心者に「三手先を読む」ことを教えます。
「自分がこうすれば(一手)、相手がこうする・こうなる(二手)、その時にはこうすればいい(三手)」と考えられればいいのです。
三手めが見つかれば、相手の二手めは恐れるに足りません。
プロ棋士は何百手も先を読むこともあるのでしょうが、生きる上での問題はとりあえず三手ずつ(先の先を)考えていけばいいのではないかと思います。
先の不幸を想って恐れるだけでなく、先の幸せ(+先の先の幸せ)も考え、先の不幸&その先の幸せを考えられるようになれば、もっと幸せになる考え方ができるようになるでしょう。
人の気もちを考える
もし、その問題に人が関わっているのなら、その人の気もちを考えてみることが問題解決のヒントになることがよくあります。
独善的な考えや自分勝手な考えは、人の感情を害し、感情の問題を生んでしまうことがあります。
「こうしたら相手はどう思うだろう?」「こう言ったら相手はどう感じるだろう?」などと考えてみればいいのです。
人は感情で動くことが多いのです。
言い方をちょっと工夫するだけでも相手の感じ方・対応のしかたが変わることがよくあります。たとえば、人に何かを頼む時に命令口調で言うのとお願いするのとでは違います。
また、やり方や手順を間違えると、よく言われる「ボタンの掛け違い」のような感情の問題が長く続くことになってしまう場合もあります。
人間関係の問題では、人の気もちが少しでも考えられるのと、ぜんぜん考えられないのとでは、大きな違いだと思います。
と言っても、人の心はわかりません。
人の気もちを考えすぎるのもよくありません。
相手の気もちをある程度思いやったのなら、それでいいと思います。
相手に対する悪意が自分にないのなら、誤解を恐れなくていいでしょう。誤解するのは相手の問題ですし、誤解は解くことが可能だと思います。
人の気もちを考えてみることは、自己中心的な偏った考えをしないようにし、現実的な問題の解決を考えるために役立つことがあるでしょう。
自分の気もちを大切に考える
人の気もちを思いやることは大事ですが、自分の気もちを大切にすることはもっと大事だと思います。
相手に対する悪意や無神経などによって人を傷つけるのはよくありませんが、自分のために正当なことをした結果、人が傷つくことになってしまったとしても、それは相手の問題だと思います。
たとえば、競争をすれば、勝つ人もいれば負ける人もいます。負けた人が傷ついたとしても、それは相手の問題です。また、自分が何かを選択した時に、それに反対の人や選択されなかった側の人が傷つくかもしれませんが、それも相手の問題です。
世の中には、自分の気もちを大切にすることで、結果として人を傷つけてしまうことがあるのはしかたがないことだと思います。(それを避けられるのなら、それに越したことはありませんが)
問題解決を考える時に、誰でも理想的な解決を望むのは当然ですが、今の自分にはできないことを望んでも自分がつらくなるだけです。
あくまでも、現実的な答えを考えなくてはなりません。
『くよくよしない考え方』には、「正しさよりも自分の気もちが大切〜理想より現実〜」ということを書きました。
理想的でなくても、立派でなくても、ちょっといい加減でも、少しでも自分の気もちを大切にする今できる考え方や方法を見つけたほうが、答えが何も見つからないよりはいいのです。それに実際には、理想的な解決でなくても大丈夫なことが多いのです。
8.休み休み考える
いくら考えてもなかなか答えが見つからなかったり答えを決められないと、つらくなったり苦しくなってしまうことがあります。
「考えるのはいいこと、考えすぎは・・・」
考えすぎると悩ましくなるだけでなく、思考力や決断力も落ちてくるものです。
『くよくよしない考え方』には次のように書きました。
悩ましくなってきたら、「(ちょっと待て。)考え過ぎかな?」と自問できたら、と思います。考え過ぎだと気づいた時には、考えるのを少し休んで、できれば気分転換をしたり何か愉しめる時間を挟んで、休み休み考えるのがいいでしょう。
重大な問題や難しい問題は時間を限って考えたほうがいいでしょう。
でも、悩みがあるとついついそのことを考えてしまうものです。それはしかたがありません。そのことを考えているのに気づいて、「あとで考えよう」「(一度寝てから)明日考えよう」などと考えられたら、と思います。
「今だけは」と、今やるべきことに集中したり、今を愉しむことを心がけるのもいいでしょう。
考える時間には集中して考えます。そのために役立つのが紙に書いて考える方法です。
悩みを抱えている時ほど、心の休養と栄養が必要なのだと思います。
いい答えをだすためには、うまく休みながら心の力をキープして、考えることが重要だと思うのです。
9.決断するための考え方
重大な問題をじっくりと考える際には、いろんな答えを考えられたほうが、それだけ選択肢が増えていいのですが、それだけ決断するために迷うことになってしまうかもしれません。
『くよくよしない考え方』では、3章に「決断で迷ってくよくよしないために」を書きました。HPの中の「迷い方と決断」や「人生の選択」を中心にまとめました。
私が迷った時に、よく心がけているのが、「○○もよし、□□もよし」(「あっちもハオハオ、こっちもハオハオ」)という考え方です。
どっちもハオハオと考えることができれば、決断しやすくなります。(どっちでもいいのですから)
また、『くよくよしない考え方』の中に書いた、「決断するための6つの考え方」も役に立つと思います。
選択を決断する場合には、本来なら比較によって決めるものでしょう。
『幸せになる方法』には、「幸せになる考えを選択する練習」というのを書いてあります。
その際に、「紙に書いて考える」と、より比較しやすく、冷静な決断もしやすくなると思います。
10.問題解決?
自分の問題についてよく考えて決断して実行に移した場合、うまくいって問題が解決することもありますし、効果なく状態が変わらないこともありますし、失敗してさらに悪い状況になってしまうこともあります。
解決しなかった場合には、次の解決手段を考えるか、あきらめる(この時点で問題化しない)かでしょう。
もう少し長い目で問題解決を考えてみましょう。
過去に自分が抱えていた悩みや問題は、その後どうなったかを考えてみるとわかると思います。
・自分の力で解決できた問題。
・解決したわけではないが、(自分の心の中から)自然消滅した問題。
・今も残っている問題。
この3つがあるのではないでしょうか。
あなたの場合には、どうなった問題が多いですか?
私の場合には、自然消滅した問題が多いと思います。
自然消滅する問題だとはじめからわかっていたのなら、悩むことはなかったと、今は思えます。その分の時間をもっと生活を愉しむために使えたらよかったとも思います。やはり、問題化しないのがいちばんよかったのかもしれません。
でも一方、問題解決に向けて悩み(よく考え)努力したことはよかったのではないかとも思います。努力した結果、うまくいかなかったのはしかたがありません。努力した自分を評価したいと思います。それがきっといい経験になっているのだと思いたいと思います。私が最初からあまり悩まない人間だったら、今の(幸せな)自分はいなかったでしょう。いろいろ考えたから少しずつ成長できたのだと思います。
幸せに暮らすためには、そのままでもなんとか済むことは、できるだけ問題化せずに、その分の自分のパワーと時間を、幸せになれることに使ったほうがいいのです。
でも、重要な問題はよく考えて解決の努力をしたほうがいいのです。うまく解決できても、解決できなくてもです。
私流に簡単に言うと、「(問題がある)ハオハオ(そのままでいいか)」と考えるか、「(問題がある)現実は現実、○○たらいいな、どうしたら?」と考え続けるか、いずれかを選べばいいわけです。その基準は、「ハオハオ」だけで自分が済ませるかどうかだと思っています。
完全解決を求めない
問題を完全に解決できれば、それに越したことはありません。でも、それが難しい問題だからすごく悩んでしまうのでしょう。
「ある程度よくなったら、それでよし(好し)とする」ことができれば、と思います。
ある程度で好しとし、ある程度は(ハオハオと)我慢するというのが、現実的な解決である場合が多いのではないでしょうか。
完全に問題がなくならない限り解決にはならないと考えていては、いつまでたっても平穏には暮らせないのではないでしょうか。
このHPを読んで、「少しラクになれてよかったです」と言ってくださる方がたくさんいます。一方、こんなのではぜんぜん問題解決にはならないと考える人もいるでしょう。
ちょっとラクになるだけでも、なんとか我慢できるのなら、それで好しとすれば、それ以上問題解決の努力は必要なくなるのです。その分、もっといいことに時間を使えるのではないでしょうか。
また、問題解決を急ぎすぎないことも大事だと思います。問題の解決・解消には時間がかかることも多いのです。
少しずつでも改善されているのなら、それで好しとしたほうがいいのです。
紙に書いて考える場合には、少しでもうまくいったことや改善されたことを書き込んでいったらいいと思います。
完璧主義の人は、自分の理想の解決ができないと我慢できません。少し改善されても、理想の解決からの減点法で考え、まだうまくいかないことを嘆いてしまいます。
少しでも改善されたことを喜べる(加点法の)ほうがいいのです。いちばん苦しかった時と今を比べることができれば、加点法の考え方ができるでしょう。
問題解決以外の課題
『くよくよしない考え方』の9章「大きい悩み・問題に対するくよくよしない考え方」には、悩みや問題を抱えてしまった時には「4つの課題」があると書きました。
4つの課題とは、「問題解決」、「イヤな気もちで考えない」、「それなりの生活を心がける」、「問題で苦しまない自分になる」です。
「問題解決」以外の大切な目標があるということです。
「気分よく生活する」(生活目標)や「自分を育てる」(人生目標)を忘れないようにできたら、と思います。
紙に書いて考える場合には、これらの目標も目立つように書いておいたほうがいいでしょう。
問題の中には(今の自分には)解決できないものもあります。
『くよくよしない考え方』には、「慢性的な問題としてうまくつきあう」ということを書きました。
「悩みや問題があるから、幸せに暮らせない」と考えるより、「生きている限り、悩みや問題はある」と考えるほうが現実的だし、悩みや問題があってもそれなりに幸せに暮らすことはできると思うのです。
付.紙に書いて考える
重大な問題を考える際には、紙に書きながら考える方法をおすすめします。
メリット
紙に書いて考える方法には、次のようなメリットがあります。
・紙に書くことで、問題を明確にすることができます。
・紙に書いていく過程で、問題を整理することができます。
・読み返してみることで少しは客観的に考え直すことができます。
・同じ考えだけを繰り返さずに(堂々巡りをせずに)すみます。
・時間を置いて考え直す時には、前に考えたことを思い出し、次に考えをすすめることができます。
・大切なこと(目標/期限など)を忘れなくてすみます。
・目で見ることで比較がしやすくなります。
・かたづいた問題は線を引いて消してしまえば、きちんと終わりにすることができます。
・紙に書いて考える時間は集中して考えることができます。それ以外の時にはその問題について考えないように心がければ、時間を限って考えることもできます。
書き方のポイント
紙に書いて考える際の書き方については、自由でいいのです。
「問題を考える」のを、落書きをしながらする感じでいいのです。要は、書くことがメインではなく、集中して考えることがメインなのです。
とにかく、紙を広げてペンを持って、なんでもいいから書きながら考えることを試してみれば、その効果が実感できると思います。ただなんとなく考えるよりもずっといいはずです。
書き方は自由と言われても困ると思いますので、私が紙に書いて考える時のポイントを紹介することにします。
・1枚の紙に書く。(広げて全体が見えるように)
紙の大きさ(私は、A4かA5が多い)、字の大きさは適当に。
・きれいに書く必要はない。(思いついたことを素早く書きとめる)
人に見せるものではないので、自分が読めればいい。
キーワードや短いフレーズだけでいい。(長い文章は不要)
・書きはじめは、適当な位置に分散して書く。
上から順番に、くっつけて書かない。
・書いた内容について考え、思いついたことを書きこむ。
考え直す際には、少しでも新たなことを書き加える。(堂々巡りをさけるために)
重要なポイントには、下線を引いて強調する。
関係や順序などが大切なことは、矢印で示す。
考えた結果、不用になった部分は、上に線を引いて(どんどん)消す。
・紙上が煩雑になったら、新しい紙に整理しながら書き直す。
この作業自体もよく考えることになるので、何度でも書き直していい。
1枚に納まるように不用な部分は削る。(余計なことを考えないようにする)
基本的には「書き方は自由」で、「こうしなければいけない」ということはありませんので、自分なりの工夫をしてみてください。あくまでも、考える補助として書くのですから、うまく書こう/きちんと整理しようなどと考えずに、問題についてよく考えることに集中してください。
紙に書く項目
紙に書く内容も自由でいいのですが、次のようなもののうち必要だと思うものを書けばいいと思います。
・問題は何か? (わかりやすく書く)
タイトルのように短く先頭に書く
問題が複数ある場合には、別の紙を使って一つ一つ考える
・自分はどうしたいのか? (目標を明確にする)
現実的な目標を設定する
はじめのうちは、問題解決以外の課題も忘れないように書いておく
「ラクに考える」「生活を愉しむ」「自分を育てる」
・期限がある(設定する)場合には、目立つように書いておく
・どういう答えが考えられるか?
考えられるいろんな答え(今後の行動や方法や考え方など)を書く
各答えのメリット(魅力)を明確にする
各答えのデメリット(恐れ)には、対策を書く (先の先を考える)
対応策、改善策、考え方(「なるようになる」「その時はその時」でもいい)
少しでもうまくいったことや改善されたことがあったら書いておく
・忘れてはいけないことや大切なことがあれば書いておく
たとえば、自分の気もちや相手の気もち
いろんな考え方や深く考えることをしながら、思いついたことの中で大事だと思うこと、自分が考える材料になりそうなことを書いておけばいいのです。