しあわせ日記

12月11日(火)人に相談すること
 悩んだ時に、人に相談するのも自分を助けるいい方法です。

 私は、人に相談することはほとんどありません。
 自分の力で対処したい、そのための考え方を工夫していこう、それが自分を育てるいい経験にもなるというような考えからです。
 また、人に相談するとその人に迷惑かもしれないなどとも考えてしまいます。
 自分の弱みを誰にも見せたくないというような思いがあるのかもしれません。

 今、カウンセリングについての勉強もしているのですが、人に相談する/話すことの価値や効果なども考えています。そして、相談を受ける/聞く側の問題についてもいろいろと考えています。
 相談できる人がいること、いい話し相手がいることは幸せなことなのだと思います。



12月12日(水)相談の目的と効果
 人に相談する目的は大きく分けて2つあると思います。1つは問題解決のためで、もう1つは心を癒すためです。
 問題解決の効果としては、相談相手からいい答えやアイデアやヒントや考え方などをもらえるかもしれないし、相手と話しているうちに自分の考えが整理できたり何か気づくことがあったり心が決まったりすることもあります。
 心の癒しの効果としては、人に話すことですっきりしたりラクになれたり、自分のつらさや心の痛みをわかってもらえたり、心強い気もちになれたりすることがあります。相手からやさしい言葉や励ましの言葉などのあたたかい気もちをもらうことができるかもしれません。

 相談する人は意識としては問題解決を求めているのでしょうが、心のどこかで無意識に癒しを求めているのではないでしょうか。
 男性は問題解決を、女性は心の癒しを主に求めているような気もします。

 相談を受けた人は、問題解決よりも心の癒しの役に立てることを考えたほうがいいと最近思うようになりました。
 問題解決はそうやさしいことではありません。簡単に解決できることなら人に相談なんてしません。常識的なわかり切った答えは悩んでいる当人には役に立ちません。
 相手に対するやさしい気もちがあれば、何かしら心の癒しにつながると思います。あたたかい心で相手の話(気もち)を聞くのがよさそうです。

 癒しは一方的なものではなく、相互作用だと言われます。一方が他方を癒すのではなく、両者の関係の中で生じることであり、両者が共に癒されるということです。
 大切にしたい相手・幸せにしたい相手からの相談なら、相手の役に立てるのはうれしいことではないでしょうか。共に癒されると考えれば、自分のためとも思えます。そういう関係を大切にできることも幸せなことだと思います。



12月13日(木)言葉の力
 言葉には4つの機能がある、と『精神対話士ハンドブック』(小此木啓吾監修/メンタルケア協会編)に書いてありました。
 思考構築力。人にわかるように話すことで、自分の考えが整理できる。
 自己表現力。自分(の感情など)を表現することで、自分を知ることができる。
 カタルシス。人に話すことですっきりする。
 感情の再体験。体験を語ることでその時の感情を再び味わい、感情を整理できる。

 いずれももっともな感じがします。こういう言葉の力の意識があれば、よりよい相談/対話ができそうです。
 話す人は、心にうっ積しているものを吐き出せ、自分の考えや感情を整理でき、自分を表現することができればいいわけです。そういう効果が少しでも感じられたら、「話して良かった」とよろこび、話し相手に感謝したほうがいいでしょう。
 聞く人は、相手が何でも話しやすいように、相手が考えや感情を整理できるように、自己表現ができるようにと意識できたら、より相手の役に立てそうです。

 話すことは「人を意識する」ことになります。ひとりで考えるよりも少しは客観性をもって考えることができそうです。また、誰でも人前ではいいカッコをしたいものです。ひどい自分は見せたくない、できれば立派な自分を見せたいと、それなりの考えや自分を表現することにもなり、より良い考え方ができることもあると思います。人に話すことは自分に話しているという側面もあり、話しているうちに自分で気づくこともあります。
 話すのと同様に書くことでも言葉の力を発揮することができます。それが人に見せる文章(という意識で書いたの)なら、なおさらです。書くことで自分を知り、自分を育てることができます。書いたものを心が落ちついた時に読み直してみれば、いろいろと気づくことも多いと思います。

 カウンセリングに関する本を読むと、「カウンセラーは相手の心を映す鏡」と書かれています。自分の意見を押しつけるのではなく、相手の心を受けとめ明確にしてあげることがいい聞き手の主な役割のような気がしてきました。そうすることで相手の言葉の力がより発揮されるのだと思います。



12月14日(金)カウンセリング
 人生相談では何らかの答えが求められるが、カウンセリング(ロジャースの来談者中心療法)ではひたすら相手の話を聞くそうです。『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久/創元社)にも、「助言しない」「相づち以外はしゃべらない」「自分のことは話さない」「聞かれたことしか話さない」などと書かれています。

 短時間で話を聞いて、よく知らない相手に合った答えを出すのはすごく難しいことだと思います。また、たとえいい答えだとしても、それが相手にとっていいことなのかには疑問があります。
 本人が自分の力で何らかの答えを見つけて対処していくことが大事なのではないでしょうか。その過程で本人が成長していくことが長い目で見たらいちばん重要なことだとも思います。

 本人が現実と自分の心を見つめるのを手伝うことで、自分で対処できるように協力するのがカウンセリングの目的のようです。人間には本来、問題に取り組み・乗り越える力があるのだと思います。その力を発揮できるように、心を支えるというのも大事なことだと思います。
 複雑な心の問題に取り組むためには、それなりの時間と人のサポートが必要なのではないでしょうか。

 大切な人・幸せにしたい人の本当の幸せを考えたら、その人のためにカウンセリング的な聞き方を心がけるのも有力な方法だと思います。



12月15日(土)人生相談
 ふつう人に相談する場合にはなんらかの答えを期待しているはずです。
 でも、実はそれほどの答えは期待していないんじゃないかと思ったりします。
 内心は、悩みを聞いてほしい、自分の気もち・考えをわかってほしい、背中を押してほしいというようなことが大きいのではないでしょうか。

 一般的な悩みや問題でプロのカウンセリングを受けるのは、いろんな意味で抵抗があると思います。そもそもお金と時間がかかります。ただ話を聞くだけの効果に疑問をもつ人もいると思います。
 人生相談的な相談のほうが一般的だと思います。

 助言については以前に書きました。何かしら役に立つ助言ができればいいわけです。
 いくつかの答え(の候補/可能性)を提案して、本人が選ぶ。それが直接役に立たなくても、本人が「そうじゃなくて自分は・・・」のように考えるヒントになればいい。
 相談する人もされる人も、このように考えて気軽に人生相談をするのもいいのかもしれません。
 それでも、助言はほどほどにして、(問題解決よりも癒しに重点をおき)カウンセリング的な聞き方を心がけたほうがいいんじゃないかと思います。

 いい助言をしてくれる人、話をよく聞いてくれる人はそれほど多くはいません。
 そういう相談相手がいる人は幸せなんだと思います。



12月16日(日)聴くということ
 多くの人は、聞いて(hearして)いるが聴いて(listenして)いないようです。人が話をしている時に頭の中では自分が何を話そうか考えているのです。それでは、相手の話を集中して聴いているとは言えません。
 人は自分の意見や知識や経験を話したいものです。目立ちたい、感心させたい、笑わせたい、注目されたい、優越感を得たいというような(隠れた)思いもあります。そういうもの(自分)が頭の中で優先されてしまうのだと思います。
 考えてみると、私もほとんどの場合はそうだと思います。

 カウンセラーは相手中心の聴き方をしなくてはいけないそうです。
 対話の主役は相手なのです。相手の話す時間を少しでも奪い取らないように、主役を奪わないように、自分は話さないで聴くことに専念する必要があるようです。

 聴いてもらっているかどうかは相手に伝わるということです。ちゃんと聴いているかうわべだけで聞いているかはわかってしまうと言います。聴いてもらっていると感じると話しやすく、安心感や心強さなどにもつながるのだと思います。

 カウンセリングでは「傾聴」という言葉が使われます。人の話に耳を傾ける、人のことに頭(考え)を傾ける、人のために心を傾けることが大切なのでしょう。



12月17日(月)わかる?
 プロの聞き手は「わかる」という相づちは使わない、と『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久/創元社)に書いてありました。安易に「わかる」と言われても、「本当?」「私のこの苦しみはわかるわけがない」というような反発を感じてしまうからだそうです。
 確かに100%わかることは無理です。でも、少しはわかると思います。少なくとも相手が悩み苦しんでいるということはわかります。
 プロでない聞き手が「わかる」と言ってしまって、多少の反発を感じることがあっても、少しはわかってくれる人がいてよかった、話を聞いてくれているということは少しでもわかろうとしてくれているんだと感謝したほうがいいと思います。

 カウンセリングでは「共感」が必要ということです。わが事のように感じることでしょうか。
 相手が苦しんでいるということは事実です。それを察することはできるはずです。苦しみを共有することで少しは心が軽くなるのだと思います。

 ただ聞けばいいというものではないのでしょう。やはり親身になって聴くことが大事なのだと思います。それは相手にも伝わるはずです。



12月18日(火)受容
 カウンセリングには「受容」が必要だそうです。
 相手の言うことを、否定しない/反論しない/責めない/自分の意見を押しつけないというようなことです。ですからカウンセラーは、そうしたくなる気もちをコントロールできなくてはいけません。また、相手を嫌ったりバカにしたりする気もちがあると、それは態度に現れてしまい、うまく話を聴くことはできないでしょう。

 私は、「人はハオハオ、自分もハオハオ」と考えたいと思っています。
「人の意見はハオハオ。自分の意見があってもハオハオ。違ってもハオハオ」
「人には欠点も弱点も悪い所もある。自分にもある。それはそれでハオハオ」
「人には必ずいい所がある。自分にもいい所がある。いい所があることは好!好!」
 というような考えです。

 カウンセラーには、他者受容と自己受容の両方が必要ということです。
 しろうとが人の話をよく聴くことはけっこう難しいことです。話の内容が深刻なほどそうです。
 人の話をよく聴くために役立つ方法として、私はハオハオを使うことをおすすめします。



12月19日(水)人格の影響力
 人生相談もカウンセリングも、相談される人・カウンセラーの人格の力が大きいと思います。話をよく聴くことができることは最低条件として、テクニックや知識があってもその人の人格ができていないと相談の効果は少ないような気がします。
 同じことを言ったとしても、言う人によって心に届くかどうかが変わります。たとえば、不倫をして悩んでいる人に「そんなことやめなさい。本当の愛は無償の愛、与える愛だ」とふつうの人が言っても説得力はないと思います。でも、それを瀬戸内寂聴さんが言ったら、心に響くという人は多いのではないでしょうか。

 プロの人生相談師なら人格の影響力を発揮できないと商売にならないでしょう。
 プロのカウンセラーは自分の個人的な影響を与えてはいけないそうです。(と言っても、実際にはカウンセラーの能力はその人格によるところが大きいと思いますが)

 相談/カウンセリングには、癒しと問題解決の他に「人を育てる」という効果があるのだと思います。いいカウンセラー・素晴らしい聞き手(人格者)は、相手の(幸せにつながる)成長を考えられる人だと思います。

 私自身は、自分で自分を育てたいと思っているので、人に相談したりカウンセリングを受ける気はないのですが、自分を知り・育てるためにプロの力を借りるというのもいいのではないでしょうか。



12月20日(木)心をみがく
 人生相談もカウンセリングも人間関係の1つです。それも深い関係です。
 深い関係の中では傷つくこともあると思いますが、それよりももっと多くの価値あるものを得られるのではないでしょうか。一時傷つくことがあっても、人生という長い目で考えれば、きっといい経験にすることができると思います。
 人生は様々な人との出会いを通して、人間関係などのいろんなことを学んでいく場と考えることもできます。人間関係のうまくいっていない相手は「いい練習相手」、相談できる相手やカウンセラーは互いの心をみがくチームメイトのようなものと考えることもできそうです。

 対人関係がうまくいかないのは、対話が足りないからではないでしょうか。
 まず、家族との対話が少ない。親も子もそれぞれに自分のことで忙しかったり、ヤマアラシ症候群のような家族関係にあるのかもしれません。友達や先生などともきちんと向かい合って話をすることは少ないのではないでしょうか。
 もう1つは、自分との対話が少ない。物事をじっくり考えることが少ないような気がします。テレビ・ビデオ・ゲーム・パソコン・携帯電話など、あまりものを考えずに時間を過ごす方法がたくさんあります。
 人間は、人と対話をすることでいろんな(考え方をする)人がいることを知り、自分と対話をすることで自分を知り、様々な経験からいろんな知識や知恵を身につけていくものだと思います。人との対話・自分との対話に慣れていないと、それがなかなかうまくできずに、対人関係などの能力がなかなか育たないのではないでしょうか。

 人の話をよく聴くことで、多少は人の役に立てると思いますが、それ以上に自分を育てるために役立つのではないかと思います。
 私も人の話を聴くことでもっと自分を育てたいと思っています。