しあわせ日記
4月11日(水)『プロカウンセラーの聞く技術』
『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久/創元社)を読み始めました。
この本が今けっこう売れているようです。カウンセラー志望の若い人が増えていると最近新聞で読みましたが、もっと多くの人が“聞き上手”になりたいと思っているようです。
『話を聞かない男 地図が読めない女』という本も去年からベストセラーになっています。
世の中にいっぱいいる“話を聞かない男”が「聞く技術」を身につけて聞き上手になってくれればいいのですが、きっとどちらの本も読者は女性のほうが圧倒的に多いような気がします。少なくともこのような本を読む人は「人の話を聞くこと」の大切を知っているでしょうけど、そんなことはまったく頭にない“話を聞かない男”は読まないんじやないでしょうか。
私は、人の話を親身になって聞くことは、相手を幸せにする方法のひとつだと思っているし、「人を幸せにする」ことは自分が幸せになる方法の1つだと考えているので、「人の話を聞くこと」は大切なことだと思っています。
そこで、『プロカウンセラーの聞く技術』を読んで、人の話の聞くことについて考えてみようと思います。
4月12日(木)なんのため?
『プロカウンセラーの聞く技術』をヒントに考える前に、
なんのために「人の話を聞く」のでしょうか?
このことを考えてみます。
ふつうの人は「人間関係をよくするため」と考えればいいんじゃないでしょうか。きっと役に立つと思います。
カウンセラーは「来談者の心を癒すため」ではないでしょうか。心のコリや疲れや傷や病いを癒すためです。
私は「相手を幸せにするため、それは自分が幸せになるため」と考えたいと思います。(気もち悪い?)
「相手のため」を考えるには、相手が何を望んでいるかがキーポイントです。
相手は今、ただ話を聞いてほしいのか、アドバイスやヒントがほしいのか、自分の答えの背中を押してほしいのか、味方をしてほしいのか、やさしくしてほしいのか、叱咤激励してほしいのか、・・・このようなことは本人もわかっていないのかもしれませんが。
相手の望みを知ることができればいいのですが、なかなか難しいことです。
私は、「相手の幸せのため」に、次の3つを考えます。
1つは、今の相手(の心)を少しでもラクにするにはどうしたらいいか?
もう1つは、相手が抱えている問題に相手がどう対処したらいいか?
そして、どうしたら相手が育つことができるか? そのお手伝いができるか?
体の病気に例えると、痛み止めと、治療と、体を強くするの3つでしょうか。
どれも大切だと思うのです。
さて、カウンセラーの聞き方とはどのようなものでしょうか?
それも、“プロ”カウンセラーのです。お金をもらって話を聞くのです。
ふつうの人が聞き上手を目指すのとは違うと思いますが、きっといい参考になると思います。もちろん、私もおおいに参考にさせていただきたいと思っています。
4月13日(金)聞き上手は話さない
『プロカウンセラーの聞く技術』には、基本の第一は「聞き上手は話さない」とあります。具体的には、「とにかく、まずは、相づち以外はしゃべらないこと」だそうです。他にも「自分のことは話さない」とか「聞かれたことしか話さない」とか書いてあります。
カウンセラーにとっては当たり前ですが、「聞き手に回る」ということだと思います。
会話の主役は話し手です。内心はみんな主役になりたいのです。
だから、自分を主役にしてくれる聞き上手の人に気分よくしてもらったり癒されたりするのではないでしょうか。
「聞き手に回る」ためには「相づち以外はしゃべらない」ということになるのでしょう。
実際には、「聞き手に回る」のも意外に難しいものです。つい相手の話の途中に割り込んでしまったり、反論したり自分の意見を主張したり、アドバイスしたくなったりしてしまうものです。
ちゃんと「聞き手に回る」には、まず意識しないとできないと思います。この本の中に「聞き手モード」と「話し手モード」という言葉がでてきますが、「聞き手モード」に入ってそれを維持するのも慣れないとなかなかできません。
私は意識して「聞き手モード」に入ることがあります。ここでは相手の話を聞いてみよう、と思います。あとは、心の中でハオハオを使って相手の話を聞きます。ハオハオを使えば、だいたいは「聞き手モード」をキープできます。
ふつうの人はそこまで徹底して聞く必要はないと思います。話すのと聞くのが五分五分でも十分ですが、聞き上手を目指すのなら三・七ぐらいはクリアできたら、と思います。そのためには「聞き手に回る」(主役を譲る)意識が必要ではないかと思います。
4月14日(土)相づち
「プロのカウンセラーの聞き方は、極端に言えば、相づちだけでもっているようなものです」と『プロカウンセラーの聞く技術』にあります。そして、
相手の話を黙って聞くのではなくて、必ず相づちを入れながら聞いていると、話し手は話しやすいものです。
「話をよく聞いているよ」と、相手に伝える最良のコミュニケーション手段は、相づちを打つことです。
相づちは肯定的なものです。聞き手の肯定的な態度が、相づちを打つことによって話し手に伝わるのです。
ここで、私が注目したいのは「聞き手の肯定的な態度」ということです。
自分が話すことを頭から否定されたり相手の意見を押しつけられるのは、それが正しいことであっても、受け入れられない時もあります。そういう相手には話をする気もなくなってしまいます。
この本の中には、「相づちの種類は豊かに」「相づちはタイミング」などの相づちのテクニックについても書かれています。興味のある方は本のほうをお読みください。
「誰でも自分の相づちを注意深くチェックしているだけで、聞き上手になります」ということです。
相づちのテクニックを工夫し磨いていく努力も大事だと思いますが、相手に対する自分の心のあり方や姿勢が大きいんじゃないかと思います。それが相づちや表情やしぐさとして自分の態度に現れることで、相手に伝わるのだと思います。
形だけの相づちにならないように、心から相手を受け入れることができたら、と思うのですが、それがなかなか難しいのです。
4月15日(日)共感
聞き手に必要な態度の1つに「共感性」があります。共感性とは、相手が感じているように感じることです。自分の心が相手の心と同じ場に立つことです。
話し手にとって、聞き手に共感してもらっていないと、話す気にはならないものです。あなただって、自分の話をしらけた態度で聞かれたら、話す気がなくなるばかりか腹が立ってくるでしょう。共感性は聞き手にとって絶対必要な要件なのです。
(『プロカウンセラーの聞く技術』より)
カウンセリングに関する本にはよく「共感」という言葉がでてきます。共感と同情の違いについてはだいぶ前に考えたことがあります。
言葉の意味はさておき、相手のことを思いやる、相手の気もちを察するというようなことが大切なのではないかと思います。
話をよく聞くことでまず大事なのは、聞き手の姿勢がどう相手に伝わるかだと思います。第一には「ちゃんと聞いてくれている」と感じること。その次に「自分が言っていることを(頭から)否定しているのではない」と感じること。その先に「共感してくれている」と感じること。となるのでしょうが、どの程度の「共感」が必要なのかは難しいところです。
目を見て相づちを打ちながら聞けば、「ちゃんと聞いている」と伝わると思います。
余計なことを言わなければ、「頭から否定されている」とは感じないと思うのですが、それがけっこう難しかったりします。そんなことを言ってはいけない、そんなふうに考えちゃいけない、そんなふうに思っては(感じては)いけない、こうしたほうがいい、などと考えてしまい、つい言ってしまうのです。
そうすると相手は、(主役の)話し手の立場を奪われてしまうことになります。その上、(正しいかもしれないけど)今自分にはできないことを言われてもつらいだけです。
私は、人の話をよく聞こうとする時には、「ハオハオから始めよう」と考えます。
・相手がそう言っているのは事実(ハオハオ)。
・相手がそう考えているのは事実(ハオハオ)。
・相手がそう感じているのは事実(ハオハオ)。
これらのハオハオから始めることが、「頭から否定しない」から「共感」につながっていくのではないか、と思っています。
正直言うと、「共感」は少しでいいんじゃないか、と思い始めているのです。
4月16日(月)相手のこと
相手の話を共感して聞こうとすると、相手の心の痛みを同じように感じてしまったり、相手の問題を自分の問題のように悩み苦しんでしまったりしがちです。そうなると話を聞くのがつらくなって、うまく聞けなくなってしまいます。
『プロカウンセラーの聞く技術』には、「相手の話は相手のこと」と考える、ということが書いてあります。
「相手の話は相手のこと」と考えられれば、自分のことのように苦しまなくてすむのだと思います。また、相手の問題は相手が考えることだと気づけると思います。
ただし、「相手の話は相手のこと」と割り切って考えすぎると、冷たい感じがでてしまうようです。その辺のことを、著者の東山さんは次のように書かれています。
「相手の話は相手のこと」が、温かい気持ちでできるためには、相手の心に対する理解が必要です。家族や友だちなど自分にとって大切な人を失わないためには、つねに相手を理解しようと心がけることが第一なのです。自分の立場を主張するのではなく、相手の気持ちになって、しかも相手と自分を混同しないこと、これがこの項のテーマなのです。「かわるが勝ち」なのです。これもなかなかむずかしいことですが。
私が「ハオハオ」を使い始めたのは、人生相談を読む時のためでした。親身になって読もうとするとつらくなったからです。「ハオハオ」を使うことでだいぶラクに読めるようになりました。話を聞く時も同じです。私は「ハオハオ」を心の中で使うことで深刻な話も落ち着いて聞けることが多くなりました。
相手の(特に深刻な)話を聞くためには、まず自分の心を安定させることが重要です。それは、自分のためでもあり、相手のためでもあるのです。
このようなことを考えると、話を聞くことがすごく難しいことのように感じてしまうかもしれませんが、実際にそんなに深刻な話はあまりなく、慣れればそれなりにできるようになります。また、「相手の話は相手のこと」や「ハオハオ」のような役に立つ心の道具を持てば、けっこうできるようになると思います。それに私たちはプロのカウンセラーではないので、話を聞くのが他の人よりちょっとうまい人でいいんじゃないでしょうか。
4月17日(火)助言
『プロカウンセラーの聞く技術』には、「情報以外の助言は無効」ということが書いてあります。
本当に相手の役に立つ助言をするのは極めて難しい。だから、私たち凡人はヘタな助言をするよりもしないほうがいい、ということのようです。そして、
われわれは聞き手として、じっくり相手の話を聞き、人格と乖離した助言を避け、話し手が自分自身で自分の人生の知恵を見いだすことを促進する以外に有効な方法がないのです。
このように書かれています。
私もできることなら役に立つ助言(相手の気もちが少しでもラクになれる助言/問題を考えるためのヒントや考え方の助言/相手が自分を育てるのに役立つ助言など)ができたらいいな、と思っていますが、実際にはなかなか助言できないものです。
このホームページも幸せ探しのヒントになれば、と思っています。
でも、いい助言があれば、より(早く、効果的に)助かるはずです。
相手の役に立つと本気で思ったのなら、役に立たないことがあってもしょうがないのではないか。1つも助言しないより、3つ助言して3つめが役に立つほうがいいのではないか。また、役に立たない助言の経験(失敗)を材料に役に立つ方法を考えられるかもしれない。などと考えてしまいます。
と言っても、役に立たない助言をずっと続けるよりは助言しないほうがいいのかもしれませんが。
自分が相手の役に立つと信じられることがある時には助言し、自信がない時には助言しない。こんな感じがいいような気がしてきました。そして、話を聞いたその場ですぐに助言しなくてもいい。その場はよく聞いておいて、後でよく考え直した上で自信があれば助言すればいいと思います。
ただし、助言をする時には次のようなことを忘れてはならないと思います。
助言が役に立つかどうかは相手(の状況・タイミング・事情・能力など)による。その時点では役に立たない助言もある(一般的な正解?は特に)。
あくまでも助言であって、主体は相手。最終的に相手が考えて決めること。
相手が成長することが長い目でみた「相手の幸せのため」。だから、安易に助言をしてしまうのはよくないのでしょうか?
いい助言なら、そこから相手が何かを学ぶことができればいいのではないでしょうか。そこまで含めた助言が必要なんじゃないか、と今気づきました。
「助言」については、私にもまだ迷いがあります。まだ当分はどちらかというと無口になりそうです。でも、いつかは人の役に立つ助言ができるようになりたいな、と思っています。
ふつうの聞き上手を目指す人には、「情報以外の助言は無効」と考えるのはいいと思います。
「助言しなくてもいいんだ」と思えば、落ち着いて話を聞けるような気もします。
4月18日(水)質問
『プロカウンセラーの聞く技術』には、「LISTENせよ、ASKするな」と書いてあります。相手の話を「聞く」のであって、「たずねる(質問する)」のではないということです。
たずねるのと聞くのとのいちばん大きな差は、「たずねる」のが質問する人の意図にそっているのに対して、「聞く」のは話し手の意図にそっていることです。
もし今、私がカウンセラーになったとしたら、
「どうしました?」
あとは、相づちを打ちながら、相手の話をひたすらに(心の中でハオハオと)聞く。
「そうですか。で、どうしたいの?」
そして、また聞く。
「わからない」と言う人には、「じゃあ、そこから考えようか?」
「○○したい」と言う人には、「どうしたら○○できると思うの?」
そして、また聞く。
と、質問を交えて聞いたらいいんじゃないかなどと思ったりします。
これは、「3Hの考え方」ができるようにと、質問をしているわけです。自分で意識してこのような考え方ができたら、なおいいと思います。
私は、「不幸を数えているんじゃないか?(それよりも幸せを数えよう)」とか「不幸になる考え方をしてるんじゃないか?(幸せになる考え方は?)」のように、よく自問します。
「本当?」「しかない?」「なんになる?」「小さなこと?」「クセ?」「いいきっかけ?」「大切なのは?」「いい経験?」などと不幸になる考え方に気づき、幸せになる考え方をするために自問します。
相手のこれからの幸せを考えたら、いい自問(自答)ができるようになる、ということが大きいと思います。それができるようになる手助けができたら。そのための前段階として外から質問するくらいはいいんじゃないかと思うのですが・・・。
プロのカウンセラーになろうという人じゃなければ、ちょっとぐらいたずねてもいいですよね。
4月19日(木)オープン
『プロカウンセラーの聞く技術』には、「オープンなほうが話しやすい」と書いてあります。
オープンだというのは、相手に偏見をもたずに素直に受け入れることで、あなたがどのような話をしても、「あなたがそう思っているのならあなたにとってはそうなんでしょう」と受け入れてくれる性格のことです。
オープンな人は自分を飾りません。そのままの自分をさらしてくれています。これが人に安心感を与えるのです。
オープンには、入り口と出口があるようです。人を受け入れるオープンさと、自分を飾らずに出せるオープンさと。
オープンさとは、性格でしょうか? クセでしょうか? テクニックでしょうか? 能力でしょうか?
性格によるところがあるから変えられない部分もあるでしょう。
クセになっている部分が多く、変えられることも多いのでしょう。
小さなテクニックで少しずつ身につけていけば役に立つでしょう。
オープンさも能力の1つです。時間をかければ育てられると思います。
ところが、オープンさは相手によってぜんぜん違ったりします。そのほうが大きいような気がするのです。『プロカウンセラーの聞く技術』に次のように書いてありました。
暗い人でも人間嫌いな人でも、人間は誰でも関係ができてくると、その相手にだけはオープンになるものです。
本当にそうだと思います。私のような人見知りする人は特に。
今の自分に対してはオープンでない人も、きっと誰かに対してはオープンなのでしょう。そう考えると、絶対にオープンな関係にはなれない、という人はいないのかもしれません。
相手と自分の立場によってもオープンさは変わるし、その時の関係によってもずいぶん変わります。
また、自分が相手のことをどう思っているかによってもオープン度が違ってきます。
相手の見方を変えれば、関係を変えれば、オープン度も変えることができるのだと思います。その辺のことはこれからも考えてみようと思いました。
4月20日(金)テクニック? 心?
『プロカウンセラーの聞く技術』を読んできましたが、やっぱりプロは大変だなぁ、と思ってしまいました。
プロカウンセラーは、話さない/助言しない/質問しないでうまく相づちを打ちながらひたすら相手の言うことを聞けばいい、のように考えられないこともありませんが、逆にそれはすごく難しいことだと思います。
心理カウンセラーに限らず、人の話を聞く(仕)事では、聞き手の人格の差が大きいような気がします。言葉のテクニックよりも相手に対する心のあり方(受け入れ方/本当のやさしさなど)のほうが大きいんじゃないでしょうか。
著者の東山さんは、あとがきに次のように書いています。
聞く技術を習得していれば、多くの人との人間関係の危機が救えます。大切な人との人間関係が構築でき、信頼感を得ることができます。このようなことから、聞く技術をできるだけ簡単に習得できるような本を書きました。
一般的な「聞き上手」になれたらいいな、という人にはとても参考になると思います。でも、決してテクニックだけを書いた本じゃありませんよ。
相手の話を聞くことの価値を知った上で、「この場はこの人の話をよく聞いてみよう」と思えるようになるだけでも、ずいぶん違うと思います。そう思える自分の心の変化がいちばん大きいのだと思います。きっと人間関係もよくなるんじゃないでしょうか。
つい最近にも、「あなたは、精神科の先生とか、カウンセラーですか?」というメールがありましたが、私はそういうプロではありません。ただの“幸せオタク”です。念のために。