翔子は花に手を合わせ、暗い夜道を見守ってくれる月に「ありがとう」とお礼を言って玄関に入る。翔子にはあらゆる所に、命がありありと見えているのでしょう。 一輪の花だって私の心を動かすことができる。月にも花にも犬にも人間にも石にだって……どんなものでも人の心を動かし得る力がある。