今週の生きるヒント 「自分を出せない/自己主張できない」
「(人前で)自分が出せない」と悩む人がいます。
人と接する時にぎこちない言動になってしまう、思ったことが人に言えない、人に逆らえないでつい合わせてしまう、人前で自分らしい振る舞いができないなどです。
「自己主張できない」と悩む人もいます。
「自分が出せない/自己主張できない」という悩みについて、考えてみたいと思います。
1.誰に? どうして?
自分が出せない相手は誰でしょうか?
特定の人(たとえば、好きな人や苦手な人など)の前では、緊張したりぎこちなくなってしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
友達・同僚・上司・近所の人などとのつきあいの中で、自分を出せないと感じている人はけっこういるでしょう。
家族以外の人に対しては、自分が出せないという人もいます。中には、家族も含めて誰にも自分を出せないと考えてしまう人もいます。
人は誰でも、いっしょにいる相手によって態度が違うものだと思います。
自分ひとりの時と、家族といっしょの時と、親しい人といっしょの時と、知り合い程度の人といっしょの時し、苦手な人といっしょの時と、・・・みんな違うのではないでしょうか。
また、親しさや関係の変化によって、相手への態度も変わっていくものです。
どうして自分を出せないかという原因は、「人の目・思惑を気にしすぎてしまうから」というのがほとんどだと思います。
「人に悪く思われたくない/良く思われたい」「人に誤解されたくない」「人を傷つけたくない」というような思いがあるのだと思います。
でも、これらの思いは誰にでもあるのだと思います。
「誰でも人の目は気になるもの」「相手によって態度が違うのは当たり前」のように考えることで、「自分を出せない」と悩むのはやめようと思えるのなら、それがいいと思うのですが。
「自分を出せない」と悩む人の心の中には、次の3つの思いのうちのいくつかがあるのではないでしょうか。
「人づきあいをもっとラクにしたい/人と自然につきあいたい」
「人に自分を良く思われたい/人ともっと親しくなりたい」
「自分らしさがほしい/自信がほしい」
人づきあいでの自分の気もちを大切にしたいか、相手の気もちと相手との関係を大切にしたいか、自分のあり方を大切にしたいかだと思います。
この3つのことについて、考えてみることにします。
2.人に気を遣いすぎない
人前で言動がぎこちなくなってしまったり、思うようにものが言えなくなってしまうのは、相手の思惑を気にしすぎてしまうからだと思います。
でも、人に気を遣うことはいいことです。よくないのは、気を遣い過ぎることです。すぎなければいいのです。
また、自分は人に気を遣うタイプと割り切って、すすんで気を遣うことができれば、そんなに疲れることもないと思います。
反対に、自分を出そうと意識しすぎるのもどうかと思います。
自然に自分を出せるのならいいのですが、無理をしてまで自分を出すことはないと思います。
いずれにしても、ちょっと力を抜くことが必要なのではないでしょうか。
「思ったことを言ってもいいし、言わなくてもいい」と考えてみてはどうでしょうか。(「言ってもハオハオ、言わなくてもハオハオ、まぁいいか」という感じです)
自分が人に気を遣うタイプだと思う人なら、言い方などにちょっと気を遣えば言ってもいいことも多いと思います。
でも、ちょっと気になるのなら、言わなくてもいいと思います。
たとえば、人から何かに誘われた時や何かを頼まれた時に、相手の言葉を受けて乗ることがあってもいいし、ことわることがあってもいいのです。
「どっちでもいい」と思えるようになれば、少しは自分を出せることも増えるのではないかと思います。それ以前に、人と接するするのが少しでもラクになれば、と思います。
「人づきあいが苦手」も参考になるのではないでしょうか。
3.自分を出すということ
「人からよく思われたい」というのは、誰もが(ほとんどは無意識に)思っていることで、そのために自分のいい所を出したいと考えるのはもっともなことだと思います。
「誰かと親しくなりたい」ために、もっと自分を出したい/人に心を開きたいと考えるのももっともなことだと思います。確かに、心を開くことが親しくなることにつながるのだと思います。
自分を出すと言っても、突然ガラっと変わる(たとえば、思ったことをなんでもバンバン言うように変わる)ようなのは不自然ではないでしょうか。
また、今までの(人に気を遣う)自分も自分の一部です。それを無くしてしまうのもどうかと思います。
今まで出せなかった自分を少しずつ出していけばいいのだと思います。
前項で書いたように、ちょっと力を抜いて自分を出せそうな時にとりあえず一度出してみる。それで様子をみて、また次に自分をちょっと出してみる。こんな感じで、一つ一つ自分を出すことを実践していけばいいのだと思います。
「自分を出す」ことにはリスクも伴います。
「自分を出す」ことによって好感をもってくれる人もいるでしょうが、逆に反感をもつ人もいるかもしれません。
自分を出した結果、人間関係のトラブルになったり、誰かと関係が悪くなる可能性もあります。
誤解や感情の行き違いやトラブルがあっても、そのあとの対処のしかたもあるはずです。
そういうことを経験によって学び、克服していけばいいのだと思います。
「自分を出す」ことで重要なのは、「いい所を出す」「もっているものを出す」ということだと思います。
「自分を出そう」と意識しすぎると、自分の悪い所を出してしまうことがあります。「目立とう」「人に勝とう」とするような自分の出し方はどうかと思うのです。やはり、自分のいい所を自然に出したほうがいいのではないでしょうか。
「自分を出そう」と思っても、自分にないものを出すことはできません。「新しい自分」「隠れた自分」「本当の自分」のようなものを出したいと考えるのもどうかと思うのです。まずは、今自分にあるものを自然に出すことを考えたほうがいいのではないでしょうか。
「自己主張できるようになりたい」と考える人もいます。
自己主張するかしないかは自分しだいで、どちらでもいいと思います。
私はあまり自己主張しないほうだと自分では思っています。たとえば、ほとんど人と議論はしません。もちろん、事と時と場合によりますが。
自分を出すためには、出せる自分があることが前提です。
逆に、ちゃんと自分をもっていれば、自己主張なんてしなくてもいいのかもしれません。
4.自分をもつ
自分を出すためには、出せる自分をもつことが必要なのではないでしょうか。
自分をもつためには、自分でよく考えることだと思います。たとえば、自分の大切なものや好きなもの、やりたいこと、夢や目標、なりたい自分、自分の生き方、自分の幸せなどです。これらについて考えるヒントは、このHPにいろいろ書いてあります。
自分の考えをもった上で様々な選択をしていくことで、自分らしさもでてくるのだと思います。
自分を出さないことの中には、「人を傷つけたくない」「人を尊重したい」というような思いやりややさしさに基づくものもあると思います。思ったことをなんでも言うのが自分を出すことではなく、思いやりややさしさを(もって話す/話さないことで)出すことも、そういう(思いやりややさしさのある)自分を出すことになるのだと思います。ただ自分が目立つ/勝つために自分を出すよりも、相手のことを思いやって出すことと出さないことを判断できたら、と思います。
自己主張は、自分をわかってほしい人や自分をわかってくれる人にだけすればいいのではないでしょうか。自己主張を誰にでもしようと思うのはどうかと思います。
いずれにしても、自分がもっている自分のいい所を自然に出せたら、と思います。
そのためには、時間をかけて自分を育てていくことが大切なのではないでしょうか。