ここで心に止めておきたいことがあります。それは煩悩も苦厄も、私たちがこの世に生きているかぎり、根こそぎなくしてしまう、いわゆる絶滅させてしまうことは、けっしてできるものではない、ということです。人間は煩悩・欲望があるから、不幸になるのでしょう。悩みも欲望から発生していると考えることができます。
ちょうど紙の裏があるから表があるように、煩悩の裏があるから生きられるのです。苦厄があるから生きる尊さが得られる、と申したほうが真実でしょう。
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