読書日記

  煩悩も苦厄もなくならない

 『わたしの般若心経』(松原泰道)より、
 ここで心に止めておきたいことがあります。それは煩悩も苦厄も、私たちがこの世に生きているかぎり、根こそぎなくしてしまう、いわゆる絶滅させてしまうことは、けっしてできるものではない、ということです。
 ちょうど紙の裏があるから表があるように、煩悩の裏があるから生きられるのです。苦厄があるから生きる尊さが得られる、と申したほうが真実でしょう。
 人間は煩悩・欲望があるから、不幸になるのでしょう。悩みも欲望から発生していると考えることができます。
 そこで、少欲(欲を少なくすること)不幸にならない方法の一つであり、知足(足るを知ること)は幸せになる方法の一つです。
 また、不幸になった際に自分の煩悩・欲望に気づくことで学べる知恵もあるはずです(煩悩はさとりの資本)。

 誰でも生きていれば、苦難や災難や不幸に出遭います。
 災難はできるだけ軽くすませ苦しみを幸せになるきっかけにしたり、禍を転じて福となす不幸を幸せに変える)ことができるといいでしょう。

 いずれにしても、煩悩も苦厄(苦難・災難)も「なくならない」「あるもの」と考えることから始めたほうがいいのかもしれません。
 むしろ、煩悩・欲があるから、人間は生きていけるし、幸せになれる、とも考えられます。
 苦しみや不幸を経験するから、強くなれたり、大切なことを学べたり、(不幸でない)幸せの価値を知ったりすることもあるのではないでしょうか。

 人生は苦、でも楽しく生きることは可能なのではないでしょうか。



   

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