読書日記

　　自分を愛する

『老子』（小川環樹・訳注）をヒントに考える“幸せの道”。

「幸せの達人は、自分の幸せになる能力を
　知っているが、それを見せようとはしない。
　自分を愛しているが、自分を高貴にはしない」
　（『老子』第７２章「聖人、自知不自見、自愛不自貴」）

　本当に幸せな人は、自分の幸せになる能力を知っています。なぜなら、それを実感できるからです。
　でも、自分の幸せやその能力を人に見せびらかさないのです。
　ですから、人から妬まれたり反感を買ったり何かをせがまれたりすることはないのです。

　ふつうの人は、能力をもつと、それを利用して何かを成し遂げたい、それによってお金や地位や名声を得たいと思います。
　本当に幸せな人は、そういう人と争うようなことはせず、簡素に生きることを選択します。
　それによって、平穏な生活を守ることができるのです。人に左右されずに、自分が望む生き方ができるのです。

　幸せな人は自分を愛せる人と言えるでしょう。自分を愛するとは自分を幸せにすることだと思います。
　自分を幸せにする方法の一つとして、人を幸せにすることも含まれるでしょう。それは、自分が幸せにしたい人を自分ができる範囲で相手を幸せにする（愛の）行為を実践すればいいだけです。

　幸せになる心の働きは、自分の心の中で役立つものです。
　それを人に誇示する必要はないのです。それはむしろ、自分の幸せな生活にはマイナスなのかもしれません。
　ですから、自分を本当に愛する人は、そういうことはしないのでしょう。



　　　

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