読書日記

  今ここ

 『生きるということ』(エーリッヒ・フロム)より、
 ある様式は、今ここにのみ存在する。
 持つ様式はただ時の中にのみ、すなわち、過去、現在、未来の中に存在する。持つ様式においては、私たちは過去に蓄積したものに縛られる。
 愛することの、喜びの、真理を把握することの経験は、時の中で起こるのではなく、今ここで起こる。
 愛する幸せ喜び、真理の発見など(すべての幸せ)は、「今ここ」で自らの経験として起こるのです。
 ある様式を重視する人は、今の自分の心を大切する人であり、幸せになりやすい人だと思います。

 持つ様式を重視する人は、過去に得たもの、現在に得るもの、未来に得られるであろうものに幸せを求めるのでしょう。
 実際には過去に得たものを幸せに思える人は少なく、むしろ持っているものに縛られるのでしょう。
 求めているものを現在に得られるのは幸せになことです。でも、それは一瞬の幸福感で終わってしまうでしょう。
 未来に得られるものを求めて努力するはいいことです。でも、それまでの間は幸せになれないのではないでしょうか。もし、求めるものを得られなかったら不幸になってしまうでしょう。

 求めているものを今得られれば、それは今の(ある様式の)幸せでもあります。
 過去に得られたものが今もあるのを「幸せだなぁ」「ありがたいなぁ」などと幸せに思えるのも今の(ある様式の)幸せです。
 将来に得られるであろう幸せを想って感じられる幸せの予感も今の(ある様式の)幸せです。また、求める過程を楽しめることも今の(ある様式の)幸せです。
 ある様式を重視する人は、求めるものを得た時だけでなく、その前にも後にも(それがある限り)幸せを感じられるのです。

 幸せになるためには、幸せを感じられるようになることが肝心です。そして、幸せを感じられるのは「今ここ」だけです。
 幸せになるためには、今を大切にできるようになることが大事なのです。
 そのためにも、持つ様式よりもある様式を重視できるようになれるといいのではないでしょうか。



   

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