読書日記

  ひとつひとつを大切に

 『幸福論』(アラン)より、
 ものをかけ足で見てまわったら、何でもよく似た同じものに見えてくる。急流の景色はどこで見てもみんな急流である。だから、全速力で世間を駆けめぐる人が、おしまいに始めのころより思い出が豊かになることはめったにない。
 風景のもつほんとうの豊かさは、その細部のなかにある。見るというのは、これら細部をゆっくり見てまわり、ひとつひとつの前で立ちどまり、そしてあらためて、もう一度全体を一目でとらえることである。
 夢の実現に向って全速力で駆け通す生き方を選べる人は幸せな人、とも考えられます。
 それが自分の好きなこと・やりたいことで努力の過程を楽しめるのなら、さらに幸せでしょう。
 ただし、そういう生き方ができる人は少ないと思います。

 それ以外の人は、もっと余裕をもって、もう少しゆっくり生きることで、生活の中での楽しみや幸福を味わえるといいのではないでしょうか。
 自分の生活のなかにあるひとつひとつのもの(事・人・物)を大切に(愛することで)幸福を感じられるようになるといいのでしょう。
 そういう生活を送れている人は、そのことを「幸せだなぁ」と思えると、なおいいでしょう。

 夢をもって生きる人も常に全速力ではなく、楽しめる余裕があるくらいのマイペースで進んでいってもいいと思います。
 また、遊んだり安らいだり休んだりする時間をもつことで、心身の健康をキープして、いい努力を続けられるといいのではないでしょうか。
 目の前にあるものを楽しむ時と、先の目標を見て希望を抱く(幸福の予感を感じる)時があるといいのでしょう。

 ひとつのものをいちばん大切にできているのは、夢中になっている時かもしれません。
 ひとつのものに夢中になっている時には他のものは目に入りません。時間がたつのも速いものです。
 そういう時間の途中もしくはその後で、「幸せだ(った)なぁ」と思えるといいのではないでしょうか。



   

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