読書日記

  今ある一つの幸せを大切にする

 『老子』(小川環樹・訳注)をヒントに考える“幸せの道”。

もっているものが少ない人は、それだけ得やすい。
 多くをもつ人は惑いやすい。
 幸せの達人は、今ある一つの幸せを大切にする

  (『老子』第22章「少則得、多則惑、是以聖人抱一」)

 もっているもの(物・人・事)が少ない人は、それだけ幸せを得やすいでしょう。
 もっていない物がたくさんあるのですから、何かを得る幸せを感じやすいでしょう。
 人とのつきあいが少なければ、人との出会いを大切にできるし、他の(自分が幸せになれる)ことを大切にすることも可能です。
 やることが少なければ、自由な時間が多く、幸せになれることをしやすいでしょう。

 もっているもの(物・人・事)が多い人は、それだけ不自由になるのではないでしょうか。
 もっている物が多ければ、それを置く場所が必要だし、その管理に時間やお金がかかるかもしれません。
 人づきあいが多い人は、それだけ自由な時間・一人の時間があまりなく、そういう幸せな時間は少ないでしょう(もちろん、家族の団らん、恋愛、友達づきあいなどが幸せなら、それはそれでいいのですが)。
 やることが多い忙しい人は心の余裕をなくし、幸せを感じにくくなりがちです。

 たくさんのもの(物・人・事)があっても、一時に楽しめるものには限りがあります。
 また、一時に幸せを感じられるのは一つだけです。
 そして、幸せを感じられるのは今ある幸せ(今もっている幸せ、今出合えた幸せ、今やれる幸せなど)だけです。
 ですから、今ある一つの幸せを大切に感じることが大事なのです。そういう幸せを一つ一つつないでいけると、なおいいでしょう。

 幸せになるためには、そんなにたくさんのものは必要ないのだと思います。自分が幸せに暮らすために十分なものがあれば、それ以上求めずに、今ある幸せを大切にしたほうがいいのではないでしょうか。



   

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