読書日記

  名前にたよらない

 『わたしの般若心経』(松原泰道)より、
 高田敏子さんが詩を作りはじめたころ、先輩から「名前にたよって見てしまってはだめなんだ」とたしなめられたとき、“びっくりさせられた論理”と驚かれたのも無理はありません。「この日から、名前にたよらずに物を見よう」と高田さんが言われますが、これこそ心経のいう「空の中に色もなし」です。
 高田さんは言われます。「おとなは名前にたよりすぎて、(ものそのものを)見ることに不精になってしまったのです。名前を知らない以前の気持ちになって家の中を見まわすなら、物の形がはっきりと見えてきます――」と。
 「これは○○だ」「○○はこうだ」「○○はここにあるものだ」のような思いが心の中にあると、よく見えないこと・気づけないことが多くなり、何も感じられなくなってしまうのでしょう。

 同じ名前の物でも、一つ一つ違うのです。一つの全体ではなく、いろんな部分があるのです。同じ物でも、時とともに変化するのです。
 名前にたよらずにいろんな部分をよく見てみれば、小さな違いや変化に気づけることもあるのではないでしょうか。

 幸せになるための最大の敵はマンネリ化であり、「当たり前」に思ってしまうのは禁物です。
 その時々が、新たな出合いとして「一期一会」の気もちで見られるといいのかもしれません。

 おとなになると物の名前にくっついている固定観念や先入観などの余計なものが邪魔をして、目の前にあるものがよく見えなくなってしまいがちなのだと思います。
 こどものような素直な心で、物ごとを見、小さなことに気づき、もっと幸せを感じられるようになれたらいいのではないでしょうか。



   

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