読書日記

  執着を捨てる

 『自分を見つめ直すための108のヒント』(ジョン・カバット・ジン)より、
 ほぼ確かなこと。一言で表現してしまえば、何をしていても何を考えていても、わたしたちは絶えず執着しているのだということ。
 わたしたちが進んでそれを見つめ、絶えず捨て去ろう、常に自分自身を思いやろうとすることで執着に取り組もうとする限り、執着を捨てきれなくても、それ自体が今の自分をありのままに見つめることになるのです。
 人間の行動も思考もすべて(無意識にしても)何かを求めてしているのでしょう。
 それは、人それぞれ、その時々、その場その場、その事によって様々でしょうが、広く言えば「幸せになるように」と「不幸にならないように」という幸福原則・不幸原則に従っていると考えられるのではないでしょうか。

 “執着”とは、「強く心をひかれ、それにとらわれること」(広辞苑)。
 お金、地位、名誉、名声、成績、業績、夢、目標、愛する人、人づきあい、世間体、健康、・・・人はいろんなものにとらわれることがあります。
 これらはすべて、本来は幸せに結びつくものだと思います。
 ところが、とらわれてしまうと、他のことが見えなくなって、不幸になってしまいます。
 また、間違った思い込み先入観や偏見にとらわれて不幸になることもあります。

 「○○が得られないと、幸せになれない」と思い込んでしまうのは、一つの幸せに執着していると言えるでしょう。
 「私は××だから、幸せになれない」と思い込んでしまうのは、一つの不幸に執着していると言えそうです。
 「幸せはたくさんある」「悩みや問題があっても(それなりに)幸せに暮らすことはできる」というのが幸せになる考え方であり、一つの幸不幸に執着しないために役立つのではないかと思います。

 “執着しない”とは、“望まない”“求めない”ことではなく、“望み過ぎない”“求め過ぎない”ということなのでしょう。自分が望むもの(幸せ)を求めて努力するのはいいことです。
 自分が求めるものが得られないことで不幸になった時には、「とらわれているのではないか?」「求め過ぎ(ているの)ではないか?」と自問することで、執着から(一時的にでも)放れられたらいいのではないでしょうか。

 執着を捨て去ることは難しいでしょうが、自分の心を見つめ、自分を大切にしようとする心がけが大事なのだと思います。


   

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