5月の人生相談 「親との問題」

第1回 どういう問題があるか
 「親との問題」といっても様々です。今回はどのような問題があるかを挙げてみます。私が持っているスクラップや本の中から、抽出してみました。

親の暴力・暴言
 親から受ける暴力や暴言はよくある問題です。これには過去の問題と現在でも行なわれている問題があります。
 過去に親から受けた暴力や暴言が忘れられない。そのことによって親に対する悪い認識や感情が続いている。そのために親との関係がよくない。そのことから人間不信や対人恐怖などの性格が形成されてしまった。など。
 現在でも親からの暴力や暴言が続いている場合にはより深刻です。そういうことを無くすにはどうしたらいいか。そういうことが行なわれる現場ではどのようにしたらよいか。そういうことを受けた場合にどのように考えればいいか。そういう親とどうつきあっていけばいいか。など。
 親から受けた暴言の問題については、今週の人生相談で取り挙げました。

親の干渉・要求
 親から自分に対する詮索、監視、口出し、規制、行動批判、叱責、押しつけ、過度な期待・要求などで悩む人も多い。

親の依存
 精神的依存、経済的依存、親孝行の強要、恩着せがましい、など。

親との意見対立
 親と意見が合わないことに悩む人も多い。自分の進路・進学・就職について。恋愛や結婚についても多い。金銭感覚、ファッション、門限などの生活上の事でも意見が合わないこともあります。家・財産・同居・老後などの問題もあります。

親が〜してくれない
 親が何かをしてくれないと悩む人もいます。話を聞いてくれない、やさしくしてくれない、理解してくれない、信じてくれない、ほめてくれない、兄弟を平等に扱ってくれない(ひいきする)など。

親に〜できない
 自分が親に対して思うように対応ができないために苦しむ人もいます。やさしくできない、親孝行できない、尊敬できない、信じられない、愛することができない、許せない、ノーと言えない、つめたくできない、など。

親の悪癖・悪行
 親の飲酒・ギャンブル・借金・浮気などで悩む人もいます。人の悪口・愚痴・浪費などの親の癖や、短気・わがまま・だらしないなどの親の性格に悩む人もいます。

家庭の不和
 両親の不和、親ときょうだいの不和、親と祖父母の不和、親と親類の不和。家庭のだんらんがない、家庭が暗い、やすらげないなどの家庭の雰囲気に関する悩みもあります。

親の心配
 離れて暮らしている親の心配をする人もいます。生活、病気、老後などの心配。

自分の生き方・性格に対する親の影響
 自分の生き方が親の影響を受けたことにイヤな感情を持ち、落ち込む人がいます。自分の意見を聞いてもらえなかった、親のいいなりで生きてきてしまった、親の存在のために自分らしい生き方ができない、など。
 また自分の悪い性格や弱い性格は親の影響だと落ち込む人もいます。

 これらの自分と親の問題について1ヶ月かけて考えてみようと思います。週に1回は追加していく予定です。また同時に「今週の人生相談」として特定の事例について考察します。

 今週の人生相談 5月第2週 「過去の親の暴言
         5月第3週 「親と意見が合わない
         5月第4週 「親の悪癖・悪行

第2回 なぜ親とうまくいかないのか
 親との関係で、次のようなイヤな感じを受けます。
 悲しい、つらい、怖い、不安、腹立ち、イライラ、憎しみ、後悔、罪悪感、等。
 それには次のような親に対する思いがあります。
・ 許せない、恥ずかしい、尊敬できない
・ 理解できない、信じられない、愛することができない
・ 恐ろしい、束縛されている、愛されていない

 その原因の1つは、次のような親の問題です。
・ 親の性格(わがまま、短気、厳しすぎる、など)
・ 親の言動(衝動的=暴力・暴言/習慣的=口うるさい、など)
・ 親の悪癖(酒グセ、ギャンブル、浪費グセ、愚痴っぽい、など)
 もう1つの原因は、次のような親の価値観によるものです。
 (古いと感じられる)道徳的、(平凡すぎる)常識的、金銭感覚、仕事/家庭/遊びのバランス感覚、など。
 それが極端な場合には、自己中心、世間体中心、仕事中心、金中心、などの片寄った価値観に執着して生きている人もいます。
 また、親と自分の意見が合わない場合も多い。親との意見対立については、今週の人生相談で取り挙げました。

 親も自分と同じ未熟な人間と考えられればいいのですが、逆に親だから我慢できないという考えが起きてしまいます。その背景には次のような親に対する理想や期待が大きいのでないでしょうか。
・ 親は正しくなくてはならない。
・ 親はやさしくなくてはならない。
・ 親は立派でなくてはならない。
 そして、親は変えることができないという事実も、理想と現実の差に、さらにつらさを増すのかもしれません。

 もう1つの原因は、親と子供の関係はうまくいかなくてはならない、のような理想が強すぎると、現実はそうはうまくはいかないので悩むことになります。

 自分の環境をただ嘆くだけでは、つらい時間を長くするばかりです。少しでもラクに考えて生きていけるようにしたいものです。

第3回 親を1人の人間として見る
 親子とは言え、それぞれに1人の人間です。親も自分と同じように自分の人生を持つ1人の人間なのです。
1.親には、それなりの過去と価値観がある。
 当り前のことですが、親にも子どもの頃はありました。親もその親との間で対立しながら育ったのです。
 自分とは育った時代も環境も違います。そのために自分と考え方や価値観が違うのも当然です。自分から見たら、古い考え方や信じられない価値観にとらわれていることもあります。しかし、親にはそれなりの理由があるのです。
2.親には親の悩みがある。
 親には親の悩みがあります。夫婦間の悩み、子育ての悩み、家族や親類や近所とのつきあいの悩み、仕事の悩み、自分についての悩み、生きることについての悩みなど。
 あなたに悩みがあるのと同じように、親にも悩みがあります。もしかしたら、あなたよりも多くの、もしくはつらい悩みを抱えているかもしれません。それにはそれなりの事情があり、親も苦しみます。歳をとっているからといって悩まない、苦しまないということはありません。
3.親も未熟な1人の人間。
 人間はみんな未熟です。自分が未熟なら親も未熟です。
 親だからと言って、正しくなくてはいけない、立派でなくてはいけない、やさしくなくてはいけない、と考えるのは間違えです。
 親にも正しい判断ができないこと、間違った行動をすることもあります。欠点や悪いクセも持っています。感情をコントロールできずに、ひどいことをしてしまうこともあります。今週の人生相談で「親の悪癖・悪行」について取り挙げます。

 親を1人の人間として見られるようになれれば、親の未熟な点だけでなくいいところも素直に評価できます。親が自分にしてくれるのが当り前と考えなければ、感謝することがたくさんあります。さらに、親の幸せを考えることができれば、やさしくもなれます。
 ただ、そのためには自分を人間的に成長させる必要があります。

第4回 親を超えて生きる
 「親との問題」についていろいろと考えてきましたが、最後に少し前向きな考え方・生き方を提案したいと思います。
 親との問題に悩んでいたらキリがありません。それよりも、自分の人生のほうが大事だと思います。そこで、親を念頭に置くことで、より自分らしく幸せに生きられる方法を紹介します。実は、この方法は私がとってきた方法なのです。よろしかったら参考にしてください。

1.親よりも幸せに暮らす
 これは簡単なことです。ふつうの親はそれほど幸せを感じて生活していません。1日に5回幸せを感じられればたいていの親には勝てます。まず、その一点で親に勝っていると自信を持って生きることです。
 幸せを感じることはあくまでも主観的なことです。自分が幸せを実感すればいいのです。人との比較や、物質的なことや環境などの条件によって決めることではありません。何を持っていても幸せを感じられない人には価値はないのです。
 幸せに暮らすための方法は、このホームページの「幸せになる方法」実践講座1実践講座2などを参照してください。
 子供が幸せに暮らすことは、本来親が望むことです。それをわからない親は未熟なだけです。間違っている親に合わせることはありません。何の遠慮もなく幸せに暮らそう。親もきっといつかは理解できます。遅い人はあの世で神様か仏様に叱られて気づくでしょう。
(こんなときだけ、神様・仏様を使ってすみません。でも、神も仏も使いよう)
 とにかく、親よりも幸せを感じて生活しよう、と思うことです。

2.自分の生き方をする
 自分の人生は自分のものです。親のものではありません。自分の生き方をしよう。少なくとも経済的に独立したら、精神的にも親離れするべきです。
 人生の中ではいくつかの分岐点があります。いろいろな選択をする必要があります。そういうときに、自分の気持ち・思いを大切にしよう。
 時には、親が反対しても、自分の意見を通すべきです。親と対立することを恐れてはいけません。親とうまく対立しつつも、家族関係を崩壊させず、なおかつ自分の考えに従うのが理想です。
 自分の人生の選択に対する結果の責任は、すべて自分にかかってくるのです。だから、自分が決めるのは当り前です。そのためには、親を超えて対等以上に張り合えるように自分を育てることです。
 自分で決めて、自主的に生きる。それは幸せな生き方の基本です。

3.夢を持って生きる
 自分の人生です。自分のやりたいことをやろう。
 そのためには、まず自分のやりたいことを探すことです。「やりたいことがわからない」などと簡単にあきらめないで、一生懸命に探し続けよう。きっと見つかるはずです。
 そして、親が反対しても、本当にやりたいことをするべきです。
 もちろん、何でもできるわけではありません。自分にはできないことは実際にあります。自分ができることを見つけるまで探し続ければいいのです。
 自分の夢を持って生きていれば、親との問題にそんなに関わっているヒマはありません。夢を一生懸命に追いかけている子供に、親は追いつくことはできません。そのうちにあきらめます。
 もちろん夢を持って生きることは自分の幸せです。もし、その夢が少しでも人の役に立つことなら、きっと親も誇れるはずです。
 もう1つ、「親を超えて生きる」ことを、自分の人生の目標の1つに加えよう。

4.まわりの人を幸せにする
 親に対して否定的な思いのある人は、自分のまわりにいる人を幸せにしよう。親がうらやましがるくらいに、幸せにしてやろう。
 まわりの人を幸せにすることは自分の幸せです。その努力は人を幸せにする能力を高めてくれます。人を幸せにする能力が向上すれば、いずれは親にもやさしくなれます。将来、親が困ったときには、十分に助けられる人になれるでしょう。
 「私は親のようにはなりたくない」というのも、親からもらった良い教訓です。その思いを自分のまわりの人の幸せに結びつけよう。

5.過去の親との不幸な出来事を幸せに変える
 親との長いつきあいの中には、いろいろと不幸な出来事もあります。それをいつまでも思い出してイヤな思いをするのは損です。今の自分のよくないところを親のせいにするのはいい。ただそれを、「そのままでいい」とするか、「変えよう」とするかを自分で決めることです。自分がいい思えば、どちらでもいいのです。はっきりと決めないのがよくないのです。
 過去の不幸を幸せに変えよう。その方法は、「幸せになる方法」実践講座13を参考にしてください。
 すぐに完全に変えることはできないかもしれませんが、過去の親との不幸な出来事から少しでも何かを学びましょう。そして、今を幸せに暮らせるように心がけよう。
 そうすれば必ず、「不幸な出来事ではあったが、今となっては人生の中の幸せな出来事」と言えるようになります。

 1ヶ月かけて、親との問題を考えてきましたが、難しい問題ではあるが、「これを自分の一番の問題にするのはどうかな」と思うようになりました。
 私は自分が幸せに暮らすことが一番だと思います。そのためにはもっと大事なことがあると思います。
 「自分が幸せに暮らすことが一番の親孝行」と信じましょう。

 今週の人生相談 5月第2週 「過去の親の暴言
         5月第3週 「親と意見が合わない
         5月第4週 「親の悪癖・悪行

 「親子の問題」も参考になさってみてください。


幸せのホームページ 悩みのヒント