読書日記

  行動の裏にある信念

 『自省録』(マルクス・アウレーリウス)より、
 なんびとに出くわそうとも、ただちにまず自問せよ。「この人間は善悪に関していかなる信念を持っているか」と。
 もしその人が、快楽、苦痛、およびその双方をつくり出すものについて、また名誉と不名誉、死と生について、これこれの信念を持っているならば、彼がこれこれのことをしても、私にとってなんら驚くべきことにも不思議なことにも思われないであろう。そして私は、彼がかく行動せざるをえないのだということを記憶するであろう。
 人間の行動を大きく左右するのが、その人の信念や価値観のようなものなのでしょう。
 人が自分にとってイヤなことをしても、「この人のこの行動はどんな信念や価値観によるのだろうか?」と考えてみれば、わかることもあるのではないでしょうか。

 たとえば、快楽を求めているか、苦痛を避けようとしているか、その両方か。
 たとえば、人から良く思われたい“名誉”を求めているのか、人から悪く思われた苦ない“不名誉”を避けているのか。
 たとえば、「生(の充実)」を大切に考えているのか、「死」(もしくは、老いや病気)を怖れているのか。
 他にも、得か損か、仕事重視か家庭重視か、好かれたいか嫌われたくないか、正しいか正しくないか、美しいか美しくないか、幸せか不幸でないか、・・・いろんな信念や価値観があるでしょう。

 人がしたことの信念や価値観がわかれば、相手の行動に驚くことはないばずです。相手がそうするのは当然なのです。
 人間の行動にはそれぞれの理由や理屈があるのです。それは、自分もそうなのですから、他人もそうなのはしかたがないのです。

 人間の行動の裏にある信念や価値観を考えてみることで、あまり人に左右されない自分になれるといいのではないでしょうか。
 自分が幸せになるためには、自分が幸せになれるか、できるだけ不幸にならないですむかを大切に生きられるようになるといいでしょう。



   

次の日の日記

最新の日記

自省録』マルクス・アウレーリウス

ホームページ