読書日記

  現在を生きる

 『自省録』(マルクス・アウレーリウス)より、
 君の全生涯を心に思い浮かべて気持ちをかき乱すな。どんな苦労が、どれほどの苦労が待っていることだろう、と心の中で推測するな。それよりも一つ一つ現在起こってくる事柄に際して自己に問うて見よ。「このことのなにが耐え難く忍び難いのか」と。
 つぎに思い起こすがよい。君の重荷となるのは未来でもなく、過去でもなく、つねに現在であることを。
 自分は何を思い悩み、苦しんでいるのだろうか?
 未来の不幸を勝手に推測して、苦しんでいないか? 現実に起こっていないことを取り越し苦労しているのではないか?
 過去の不幸を思い返して、不幸な気もちになっていないか? 人や社会のせいにして、いつまでも嘆き悲しんでいないか? 自分のせいにして、自分を責めてばかりいないか? つらいのは、自分が過去のことを考えているからではないか?
 こんなふうに自問してみれば、今の苦しみが未来や過去の問題であることに気づけることが多いのでしょう。

 未来や過去のことは自分が考えさえしなければ、自分を苦しめることはないのです。
 だから、現在の事柄だけを問題にすればいいのです。
 今現在に何が問題なのか? この問題は本当に現在の問題か? この問題は現実として解決できるのか? この問題は耐えられないほどの問題か? この問題を解決するにはどうしたらいいか?
 こんなふうに自問し、未来や過去の問題や、今の自分にはどうしようもない問題や、なんとか我慢できる問題なら、悩まなくてもいいのではないでしょうか。
 解決可能と思われる問題の場合には、動いて解決を目指すじっくり考えて解決を目指すかすればいいでしょう。

 と言っても、つい未来のことを考えて不安な気もちになってしまうことはあるでしょう。そんな時には「不安は注意信号」「その時はその時」「なるようになる」などの幸せになる考え方を心がけることで、不安な気もちを小さくし、心を切り替えられるといいでしょう。
 また、ふと過去のことを思い出してくよくよしてしまうこともあるでしょう。そんな時にも過ぎたことでくよくよしないように幸せになる考え方を心がけられるといいでしょう。

 幸せに暮らせるようになるためには、今を大切にできるようになることが大事です。
 そのためにも、未来や過去を心の重荷にせずに、目の前の一つ一つのことを大切に“現在を生きる”ことが重要なのだと思います。



   

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