読書日記

　　おかげさま

　『わたしの般若心経』（松原泰道）より、
　縁起や空がわかる――など容易なことではない、と案じることはありません。平たい言葉でいうと“おかげ（陰）さまがわかる”ということなのです。おかげさまは、もとは神仏のご加護のことですが、私たちは人から受けた世話や力添えや恩恵をも“おかげさま”と感謝することを忘れません。
　自分に不利な場合も、おかげさまに変わりありません。自分にとって好ましくない不利な現象を縁として、起ち上がることができたら、不幸のおかげであり、たまものではありませんか。
　縁起とか、空とか、お釈迦様の教え（仏教）には難しいことが多いのですが・・・。
　“おかげさま”と感謝すればいい、というのなら、わかりやすいと思います。

　縁起（因縁・因果）によって、起こった出来事に「おかげさまで」「ありがたい」と心から感謝できれば、幸せな気もちになれます。
　空の要素の一つ“無我”によって、自分のまわりに存在しているもの（物・人・事）に感謝できれば、いつでも幸せな気もちになれます。
　空の要素の一つ“無常”によって、出合えたものに感謝できれば、そのたびに幸せな気もちになれるのです。

　たとえそれが、自分にとって不利なもの・不幸なものであったとしても、それを“いいきっかけ”や“いい経験”とし、その後の自分の幸せに活かすことができれば、それは不幸の“おかげさま”と感謝できるようになるのです。
　どんな不幸も、時間をかければ、（自分の心の中で）幸せに変えることができると思います。

　生きていく中でいろんな“おかげさま”の経験を積み重ねていくうちに、縁起や空の理解を深め、すべてのもの（物・人・事）に感謝することで、いつも幸せな気もちでいられるようになれたらいいのではないでしょうか。



　　　

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