読書日記

  しかたがない

 PHP4月号の『明日への思い』は、坂東眞理子さん(昭和女子大学学長)。
 人生の理不尽さに遭遇したとき、やがて日本人はこう口にします。「しかたがない」と。この言葉の中に私は、日本人の強さと生きる知恵をみる思いがするのです。

 この世の中には人知を超えたものがある。自分の力ではどうしようもないことがある。
 そのことに抗っていても道は見えてはこない。まずは受け止めること。理不尽さや過酷な状況を心でしっかりと受け止め、そこから覚悟を決めて歩き始めること。その覚悟こそが、日本人の底力なのだと私は思っています。
 人生ではひどい出来事や大きい不幸に遭うこともあります。
 そんなとき、「ひどい」「信じられない」「こんなことがあってはいけない」「どうして自分(だけ)が(こんな目に)」などと思っていると、余計につらい気もちになり、それが長く続くことになってしまいます。
 そんなとき、「こういうこともある」「しかたがない」などと受け止める考え方ができれば、少しは心が落ちつきます。

 自分ではどうしようもないこともあります。
 それを「なんとかしなくちゃ」と思っても、焦るだけで何もできずに時間とエネルギーを浪費してしまいます。
 「しかたがない」と受け止めることで、そのことは置いておいて、今できることをするほうがいいのです。

 一つの不幸にとらわれて、いつまでも立ち止まっていても、つらい時間が長くなるだけで何も変わらないのです。
 理不尽な出来事や過酷な状況などの不幸は、まず現実を受け入れることです。
 そうすれば、希望がもてるようになるはずです。
 そして、今の現実から一歩を踏み出せるといいのです。
 今の現実を否定しているうちは、つらいし、希望ももてず、歩き始めることもできないのです。

 しかたがないことできるだけ考えないようにし、今の自分にはどうしようもないことは慢性的な問題としてうまくつきあい悩みや問題があってもそれなりに幸せに暮らせるようになれたらいいのではないでしょうか。



   

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