読書日記

  生きるために働く

 『林住期』(五木寛之)より、
 人間はなんのために働くのか。それは生きるためである。
 そして生きるために働くとすれば、生きることが目的で、働くことは手段ではないのか。
 いま私たちは、そこが逆になっているのではないかと感じることがある。
 生きるためには、食べなければなりません。食べていくためには、ふつう働くことが必要でしょう。
 ですから、人間が働くのは生きる(食べる)ため、というのが主なのだと思います。
 ところが、働くこと・仕事を優先するために、生きることがおろそかになっているような人も多いのではないでしょうか。

 同様に、生きるためにしていることがいろいろあるでしょう。
 では、なんのために生きるのでしょうか?
 その答えは、人それぞれにあっていいし、なくてもかまわないと思います。
 もし、共通の生きる目的を考えるとしたら「幸せのため」だと思います。人間は、無意識に幸せになれるように(また、不幸にならないように)行動しているとも言えるのではないでしょうか。(幸福原則
 つまり、幸せになるのが目的であって、何かをするのは手段です。
 ところが、やること(手段)を優先するために、幸せになれない・不幸になっている(目的に反している)人も多いのだと思います。

 仕事(会社)のために生きるな。幸せに生きるために働け。
 お金のために生きるな。幸せに生きるためにお金を稼ぎ、使え。
 勉強するために生きるな。幸せに生きるために学べ。
 遊ぶために生きるな。幸せに生きるために遊べ。
 夢の実現のために生きるな。幸せに生きるために夢をもて。
 愛されるために生きるな。幸せに生きるために人を愛せ。
 人のために生きるな。人と共に幸せに生きよ。
 悩むために生きるな。幸せに生きるためによく考えよ。
 ただ生きるために生きるな。幸せに生きるために生きよ。

 仕事に関して言えば、仕事の目的は、食べるため・生きるため以外にもあると思います。たとえば、喜びや楽しみのため、夢や目標のため、人や社会の役に立つため、成長するため、・・・。これらは自分の幸せにつながることのはずです。
 ですから、いちばんいいのは仕事の幸せを感じて働けるようになることではないでしょうか。

 「林住期」の入り口の50歳ぐらいになれば、生きるため・食べるために働かなくてもいいようになる人も多いと思います。
 そこで、自分の仕事について考え直すことで、少し心の力を抜いてラクに働けるようになる人もいるでしょう。
 本格的な「林住期」やその後の「遊行期」を見据えた準備もできるといいのではないでしょうか。



   

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