読書日記

  慈悲

 『般若心経入門』(松原泰道)より、
 釈尊のさとりを象徴する「観音さまのこころ」の一つが「慈悲」です。
 「慈」は「友情」の意味ですが、特定の友だけにでなく、誰れ彼れの別なく友情をささげるという意味です。
 また「悲」は悲しみではなく、うめきです。わが苦悩にうめいた者だけが、他者の苦悩のうめきに同苦できる思いやりをさします。

 また、慈悲は愛と異なります。慈悲は同じ床(フロア)にあっていとおしみあうので、高いところから施すものではありません。
 また、裏切られたとき憎しみに変わる愛と違い、背かれれば背かれるほど、裏切られれば裏切られるほど、憎しみよりもあわれみを増すのが慈愛です。

 どんな人にも、どんなに苦しい状況でも、裏切られても、友情と思いやりを保ち続ける……「慈悲」の心を身につけるのはとても難しいことでしょう。

 人には好き嫌いがあり、すべての人に思いやりをもつのは難しいでしょう。
 人の苦しみを我がことのように苦しみ、寄り添い続けることも難しいでしょう。苦境のときにはそばに寄りたくない人が多いでしょう。自分のことで精一杯という人も多いのではないでしょうか。
 裏切られてもなおあわれみを増すなんて、聖人のなせるわざでしょう。

 私は、自分が幸せになる方法の一つとして、「人を幸せにする(愛する)」ことを考えます。
 それも、自分が幸せにしたい人(だけ)を、幸せにする方法を思いついて、それができるときに実践すればいい、と考えます。
 その結果として、人を幸せにする幸せを感じられるようになれたらいいのではないでしょうか。

 「慈悲」も「愛」もいきなり難しいことをしようとするのには無理があるでしょう。
 自分にできることをやりながら少しずつ身につけていけたらいいのでしょう。



   

次の日の日記

般若心経入門』松原泰道

ホームページ