7月の人生相談
「人間関係がうまくいかない」
現在、悩みの中で一番多いのは、人間関係に関することだと思います。
7月の人生相談は、「人間関係がうまくいかない」という問題を考えることにします。
第1回
人間関係の問題
[7/1]
第2回
人づきあいに対する考え方
[7/9]
第3回
人づきあいの距離感
[7/16]
第4回
人から被害を受けて苦しまないために
[7/23]
第5回
いい人間関係をつくるために
[7/30]
第1回 人間関係の問題
人間関係の問題で多いのは、次のようなものです。
人と会話がうまくできない
。何を話していいかわからない、会話が途切れる、人と話が合わない、
会話が楽しめない
。これらのために、意識過剰になる、緊張してしまう、疲れる。
人のすることに対してイヤな感情がわく
。腹が立つ、
許せない
、
嫉妬する
、嫌悪感を持つ。
人から被害を受けて苦しんでいる
。暴言・
悪口・カゲ口
、無視・
仲間はずれ
、いじめ・セクハラ。そういう
過去の経験をいつまでも忘れられず
に苦しむ人もいます。最近ではストーカー的な被害も注目されています。
いい人間関係がつくれない
。
親しくなれない
、相談や深い話ができない、
信じられない
、
ケンカ
をしてしまう、
冷たい関係
。
これらの中のいくつかは、今週の人生相談として扱って、考えてみます。
人間関係の問題はどうして起こるのでしょうか。
イヤな人間・やさしくない人が多いからでしょうか。自分に何か能力が足りないのでしょうか。相性が悪いとか、巡り合わせがよくないとか、運が悪いからでしょうか。
人間関係のあり方や価値観についても考えながら、どうしたら人間関係で悩まずにすむか、いい人間関係をつくることができるかを、1ヶ月かけて考えていこうと思います。
幸せに暮らすためには、いい人間関係が大切だと思います。
第2回 人づきあいに対する考え方
まず、自分の人づきあいに対する考え方を確認し直してみましょう。
(1)どのくらい重視するか?
全体としては、自分の生き方の中で、人づきあいをどのくらい重要と考えるかです。特に重視しないのであれば、それほど悩む必要はありません。
あとは、相手毎に、その人とのつきあいがどのくらい大事かを考えてみてください。重要な人にはそれなりのつきあい方が必要だし、そうでない人とは気ラクにつきあえばいいわけです。まわりの人すべてといい関係をつくらなければいけない、と考えたら疲れてしまいます。
また、人づきあいに対する自分の理想が高すぎると、現実とのギャップに悩むことになります。自分の性格も合わせて考えて、現状から少しずつうまくつきあっていけるような目標を持ちましょう。そしてどこかで、この人とはこのくらいの関係でもいいや、と考えられればラクになれます。
(2)どのくらいの広さか?
人づきあいの広い人、少ない人、いろいろな人がいます。どちらがいいとは一概には言えません。自分に合ったつきあいの広さをすればいいわけです。
友達が少ないと悩む人は、今の生活を楽しんでいないからそう思うだけです。生活を楽しむ方法は1人でできることもたくさんあります。もちろん、人といっしょに楽しめることもあります。どちらでも自分のやりたいことをすればいいのです。
もし、今よりも広げたいと思うのなら、新たな生活の場を増やしてみるのがいいと思います。新しいことを始める中で仲間をつくっていくのがいいと思います。
(3)どのくらいの深さか?
人と深いつきあいをすることは、一朝一夕にはできません。いろいろなつきあいの中から、深いつきあいに発展していくのがふつうです。
何でも相談できる友達がいないと悩む人がいますが、本当に深刻な相談なら専門家に相談したほうがいいと思います。また、人は自分で悩みながら生きていくことで成長するとも言えます。そういう意味では、相談できる友達はいなくてもかまわないと思います。
また、自分はもっと親しくなりたいのに相手にその様子がない、逆に、自分はあまりつきあいたくない人が自分につきまとってくる、ということで悩む人がいます。これは、人づきあいの際に考えたほうがいい「距離感」の問題があります。
第3回 人づきあいの距離感
人づきあいに大切なのは距離感だと思います。
自分が相手とどのくらいのつきあいをしたいのかと、相手が自分とどのくらいのつきあいをしたいのかが、大きく違っていてはうまくいきません。
また、互いの現状の距離感・親密度は、徐々に進むのがふつうで、急に親しくなることはめったにありません。
そして、親しい人間関係は意識してつくるよりも、自然につくられるほうが多いと思います。いつのまにか親しくなっていたという感じです。
(1)最初から距離をとりすぎない
よく人は、第一印象や、出会った頃の1つの出来事だけで、人の印象を決めてしまいがちです。それが激しいと、人づきあいの幅を狭めてしまいます。そうなると、いい人づきあいができる可能性も低くなります。
そうしないためにまず必要なことは、
人づきあいで基本的なこと
をちゃんとすることです。あいさつ、お礼、謝罪などです。そして、相手に伝わるような無視や、避ける態度をしないことです。これらは人間関係を悪くする原因です。
そのためには、相手に対するイヤな感じを強く抱かないようにすることです。そのための方法は、今週の人生相談「
人のここがイヤ、嫌い
」で書きました。人とイヤな感じを持ったままつきあうのは、自分にとってよくありません。
それなりのつきあいをしていく中で、親しくなれる人が見つかるのだと思います。私の経験では、第一印象が少し悪いクセのある人の中には、親しくなれる人も多い。
(2)適当な距離をとってつきあう
ふつうのつきあいの中から、親しくつきあえる人ができればいいし、できなくてもいいと思います。せいぜい「親しくなれたらいいな」くらいの気持ちでいましょう。「親しくならなければいけない」「絶対に親しくなりたい」などと、強く意識しすぎないほうがいいと思います。人づきあいは相手のいることであり、自分の思惑どおりにはいきません。
親しくなれたらいいなと、徐々に距離を縮めるようにしないと、相手からうっとうしく思われたり、逃げられたりします。誰だって特別に好きでもない人にすごい勢いで追いかけられたら、驚き・逃げます。極端な例がストーカーです。
こういうことは、現状の互いの距離感がわかっていないか、自分の欲求が強すぎるためにおこります。自分が繰り返し相手のことを思うと、相手の存在は自分の頭の中だけで大きく強くなります。このことは、好き・嫌いどちらでも言えます。ところが相手は現実に自分と会った時以外には、自分のことを思わなければ、相手にとって自分はごくふつうの存在です。そこに距離感の大きなギャップが生まれます。
現実にあったことを必要以上に繰り返し想い出したり、想像をふくらませたりした場合には、そのことに気づき、もう一度落ち着いて、相手との距離感を測り直してみることです。その時に役立つのは、相手の身になって考えることです。
ここに書いたことは机上の論理です。現実には距離感など意識しないで自然につきあうのがいいと思います。ただ、人とのつきあいがうまくいっていないと悩んだ時には、思い出してここに書いてあることを読み直して、考えるヒントにしてみてください。
「人づきあいの距離」については
こちら
も参考になると思います。
第4回 人から被害を受けて苦しまないために
人間関係の中で一番つらいのは、人から被害を受けて苦しむことです。
直接の暴力・暴言。無視・仲間はずれなどの冷たい仕打。カゲ口・悪いうわさ話など、間接的なもの。いたずら電話・セクハラ・ストーキングなどの犯罪行為。
また、自慢話・うわさ話・人の悪口などを聞かされるのもイヤがる人もいます。
口出し・詮索などの干渉。人から疑われたり、やきもちを焼かれるのも度がすぎると困ったものです。
「誘ってくれない」と傷つく人もいれば、「誘ったのに断わられた」と傷つく人もいます。
これらについての対策は、2月の人生相談「
人の言葉で傷ついた
」と同様のことが言えると思います。
(1)
気にしないようにする
(2)
自分が傷つかない考え方をする
(3)
相手に自分の気持ちを伝える
(4)
人に相談する
小さなことは気にしないようにする。過去のことは考え方を変えて心の中できちんと消化してしまう。相手に改めてもらいたければその旨を相手に伝える。自分だけでは手におえない問題は人に相談する。犯罪的なことはしかるべきところに訴える。
これらのいずれかを選択し、ちゃんと手を打つことが大事です。ただ被害を受けていると嘆いているだけでは、いつまでたっても救われません。いつでも自分を救えることができるのは自分だけです。
人から被害を受ける場合、多くは相手との人間関係のトラブルが元となっています。少なくとも相手といい人間関係はできていません。被害を受けるのは加害者に多くの問題がありますが、人間関係という点では両者の問題です。
いい人間関係を築けることも大事なことです。そのことについては、次回に考えることにします。
第5回 いい人間関係をつくるために
いい人間関係をつくれるようになるためには、それなりの努力が必要です。
(1)人間関係に対する姿勢
「人間関係などどうでもいい」と考えるのも、人間関係で悩まないための方法です。しかしそれでは、人間関係から得られる多くの幸せを放棄することになってしまいます。
まずは、「いい人間関係をつくれるようになろう」と決意してください。
ただし、急にそれができるようになれるわけがありません。「今は人とうまくつきあえない時もあるけれど、少しずつ努力して、いつかはうまく人とつきあえるようになれたらいいな」くらいの気持ちを持ち続けてください。
(2)実践・経験を積み重ねる
人づきあいが苦手だと、人とつきあうことを避けてしまう人がいますが、それではますますいい人づきあいができなくなってしまいます。
人づきあいは、慣れや経験が大事です。経験を積まずに頭の中だけで考えていても人づきあいはうまくなりません。
同じ人と会えば会うほど親しくなる、という心理学の話があります。当然なことのようですが、人づきあいを第一印象で大きく左右してしまう人がいます。誰でも初対面の時には、緊張もし、気を使ってしまい、うまく自分を出せないものです。何度か会ううちにだんだん理解し合うのが本当です。
また、人には相性というものがあります。ある人たちとうまくいかないからと言って、自分の殻に閉じこもれば、出会いのチャンスがなくなってしまいます。この世には自分に合う人が必ずいます。たくさんいます。そういう人と出会うためにも、人づきあいを過度に回避しないようにするべきです。
(3)いい人間関係をつくるための能力を育てる
いい人間関係を多く築くためには能力が必要です。それを自ら育てること、自分の人間としての成長と考え、人生目標の1つとして、時間をかけて努力してください。次のような能力が、大きいと思います。
人づきあいの基本的な能力
。あいさつ、お礼、謝罪、友好的な表情・態度、名前を覚える、など。
人を受け入れる能力
。人のすることにいちいち悪い反応をしないことです。相手のためでなく、人を受け入れることで、人に対するイヤな感情を持たないですみます。世の中にはいろいろな人がいます。人はそれぞれに違い、それぞれの価値観で生きています。人は自分の思いどおりには動きません。この当り前の考えを身につけることです。
イヤな感情がわくのは、自分が人に対して「〜でなければならない」という固定観念や、「〜してほしい」という理想や願望が無意識にあるからです。それに反することを人がした場合に、自分の心の中にイヤな感情が発生します。
まずは、人が何をしても「
ハオハオ
(好々)」です。それから、相手が幸せにしたい人だったら、その人のために考えて行動すればいいのです。幸せにしたい人と思えない相手だったら、ムダな時間とエネルギーを使わないことです。そんな相手のことは良し悪しに関係なく考えすぎてはいけません。イヤなヤツに腹を立てるのもムダ。どうでもいい相手に必要以上に気をつかうこともムダです。その分を自分の生活を楽しむこと、自分の夢や目標のこと、幸せにしたい人のために使ったほうがいいのです。ただし、人間として成長すればするほど、多くの人を幸せにしたいと考えられるようになります。
人の話を聞く能力
。
人の話を親身になって聞く
ことで、自分の相手に対する関心や好意が相手に伝わります。人は自分の話を聞いてほしいのです。だから、人の話を聞くことは人を幸せにする方法の基本です。また、話を聞くことで、相手(性格、現状、興味、好み、など)を知り、相手を幸せにする方法を考える重要なヒントを得ることができます。
人に働きかける能力
。自分から話しかける。楽しいことを提案する。何かに誘う。また、人の誘いにうまくのることも大事です。「人が〜してくれない」と嘆くより、自分から人に働きかける人になればいいのです。
ここに書いてきた人づきあいの能力を、私は
人を幸せにする能力
だと考えています。「幸せ」という言葉を過大に考える人は、人をいい気分させる能力とでも考えてください。でも通常の人間関係では、ささいなこと、小さな幸せを与えることが大きいのです。小さな幸せというものを知っている人のほうが人を幸せにできると思います。
人を幸せにするには、「
人がしてほしいこと
を、してあげる」のが一番です。
例えば、上記のいくつかの能力もそうです。人は礼儀正しく扱ってほしい。人は自分を受け入れてほしい。人は話を聞いてほしい。人は誰かから誘ってほしい。たぶん、あなたもそうでしょう。だから、それを人にしてあげればいいのです。
相手に対して、幸せを考える、気に留める、察する、思いやる。このようなことが必要です。相手と会っている以外の時間に、これのことができるようになれば、きっと人を幸せにすることができます。
そのためには「人を幸せにすることが自分の幸せ」と思えるようになることが重要です。そうでないと、自主的に、ムリをしないで、人を幸せにすることができません。人を幸せにすることを自分の喜びとして、自然にできるようになることが理想です。
人を幸せにすることを、自分の幸せ、自分の成長として考え、少しずつ努力を続けていけば、人間関係からたくさんの幸せを得ることができるでしょう。
7月第1週の人生相談 「
人と会話するのが苦手
」
7月第2週の人生相談 「
人のここがイヤ、嫌い
」
7月第4週の人生相談 「
人と親しくつきあえない
」
◇「
人間関係のヒント
」
悩みのヒント
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