読書日記

  不安の象徴

 『ようこそ断捨離へ』(やましたひでこ)より、
 病気になったら、必要だから……
 この仕事がなくなったら、買えなくなるから……
 年を取ったら……、地震がきたら……

 今あるモノが、未来の不安を象徴していることが、たくさんあるのですよ。そんな不安の物的証拠は、隠滅したほうがよろしいのでは?
 それが楽天的に暮らすコツ、生きる智恵。
 「不安は注意信号」と将来に備えるのは、人間の素晴らしい能力の一つです。
 でもそのために、モノ(物・人・事)が多くなって、幸せに暮らす足手まといになるのはよくないでしょう。

 たとえば、防災用に「物」を備えるのはいいことです。でも、それが多すぎると、置き場所や維持の手間やお金などが余計にかかることになり、その分幸せになるために使えなくなってしまいます。
 どの程度まで備えるかは難しいところですが、そんなに多くの物は必要ない災害が多いような気がします。逆に、大き過ぎる災害では防災用品が役に立たないこともあります。そして、実際に多いのは幸いにも一度も使われなかった場合ではないでしょうか。

 たとえば、困ったとき頼りになるのは「人」ということで、良い人間関係をつくる努力をするのはいいことです。
 でも、つきあいを多くしすぎると、そのために時間やお金やエネルギーを費やして、幸せに暮らす余裕をなくしてしまいます。“まさかの友”は少数でいいでしょう。そういう期待をするのは家族だけでもいいのではないでしょうか。

 たとえば、幸せに暮らすために健康は大事ですから、健康にいい「事」をするのは、もちろんいいことです。
 でも、健康のために時間やお金やエネルギーを使いすぎるのもよくないでしょう。今の健康状態の中で、幸せになれることに時間やお金やエネルギーを使うことのほうが大事でしょう。

 「××たら、どうしよう」と不安になったら、今できるある程度の備えをしたら、あとは「その時はその時」「なるようになる」などと楽天的に考え、今を大切にできるようになれるといいのではないでしょうか。



   

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