読書日記

  10 こだわりの幸福(ヒステリック)

 『「裸のサル」の幸福論』(デズモンド・モリス)より、
 自分の興味だけにこだわり、その他のことを無視する人(ヒステリックな性格の人)の幸福には、良い点と悪い点があります。良い点は、こうしたヒステリックな性格を示す人というのは、たいていの場合、一緒にいて楽しい人たちであることです。まずい点は、周りの人たちを混乱に陥れがちなことです。
 多くの創造的な人々は、日々の雑事で時間を無駄にすることを頑固なまでに拒否します。
 仕事にこだわり、その他の生活(家庭・社交・娯楽・食事・服装など)にほとんど目を向けない人がいます。
 芸術家・研究者・芸能関係・スポーツ選手・勝負師などに、そういう人が多いようなイメージがあります。一つの事にこだわり、そこに自分の時間とエネルギーを集中することで、その道で顕著な業績をあげることができるのでしょう。

 実際には、もっと様々なこだわりの幸福があるのだと思います。
 人に認められなくても、自分が幸福を感じられるのなら、なんでもいいのだと思います。
 自分しか分からないものへのこだわりでもいいのです。

 ただし、極端なこだわりは、生活に大きな支障を与えることも多々あるのだと思います。
 たとえば、人間関係の問題、経済的な問題、健康の問題など(幸せになるためには「健康」「人」「お金」は本来は大事)。
 何か一つの事にこだわった生き方は、一つの事にとらわれて不幸になる危険性のある生き方だと思います。

 その半面、何か一つの事にこだわった生き方は、大切なものに自分の時間とエネルギーを充分に注ぐことができる、とても幸福な生き方でもあると思います。
 そういう生き方を貫くためには、「(他のところで)多少問題があってもかまわない(しかたがない)」と覚悟し、周りの人(の迷惑)は気にしないことです。
 周りの人に「あの人は(ある面ですごい人だから、他のことは)しかたがない」と思われるぐらいになれるといいのかもしれません。



   

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