読書日記

  持つことからあることへの変化

 『生きるということ』(エーリッヒ・フロム)より、
 持つことからあることへの変化は、実際に天秤を傾けることであって、社会的変化に関しては、新しいものが推奨され、古いものが退けられることである。そのうえ、これは新しい〈人間〉は古い〈人間〉と天地の違いがあるというような問題ではない。それは方法の変化の問題である。
 〈持つ〉ことを重視する生き方から〈ある〉ことを重視する生き方へ変えるためには、実際に生活を変える努力をする必要があるということでしょう。
 ましてや、持つ様式の幸せが限度に達している感がある現代の日本では、ある様式の幸せが大事なのではないでしょうか。

 もの(事・人・物)を持つことにとらわれると不幸になってしまいます。
 たとえば、何か(やりたい事/好きな事/すべき事/いつもしている事など)ができなくてつらい(悲しい/耐えられない/不幸だ)、誰か(好きな人/恋人/配偶者/子供/親友など)がいないから寂しい(耐えられない/不幸だ)、何か欲しい物(いつも使っている物)がない(手に入らない/買えない)からイヤだ(耐えられない/不幸だ)、のように。

 何をやるかも大事ですが、今いちばん大事なのは今やることをどういう(少しでも幸せな)気もちでやれるかです。
 誰と過ごすかも大事ですが、今大事なのはまわりにいる人と(もしくは、一人で)どういう(少しでも幸せな)気もちで過ごせるかです。
 何を得るかも大事ですが、今大事なのは持っているものを使って少しでも幸せな気もちで過ごせるかどうかです。
 つまり、ある様式の幸せを大切に今を過ごすことなのではないでしょうか。

 幸せな人生を目指して、生き方を変える努力をするのはいいことだと思います。でも、実際に変えられるのは「一つ一つ、少しずつ」だと思います(数度の“人生の転機”を除いては)。
 むしろ、やること・(外面の)生き方は変えなくても、心のあり方・心の働かせ方を変えることで、持つことからあることへの変化は可能なのだと思います。
 現在日本に暮らす大半の人は、心がけしだいで「今は幸せ」と思えるようになる、のではないかと私は思っています。そのためには、まず考え方を変えることからだと思います。



   

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