読書日記

  「ファスト」と「スロー」

 『スローライフ入門』(カール・オノレイ)より、
 この本に出てくる「ファスト」と「スロー」は、単なる変化の程度を示しているわけではない。
 人としてのあり方、もしくは、人生観を簡略化した言葉なのだ。

 ファストは、せわしなく動きまわり、支配的で、攻撃的で、あわただしくて、分析的で、圧迫されていて、表面的で、こらえ性がなく、能動的な態度であり、質よりも量を重んじることだ。

 スローとはその逆を意味するもの。つまり、ゆるやかで、物事に注意を払い、受容的で、静穏で、あわてることがなく、辛抱強く、思慮深い態度があり、量よりも質を重んじることだ。
 今の生活を楽しめていない人は、心の中が「ファスト」な(急いでいる)のかもしれません。
 そういう「ファスト」な生き方に対して、もっと「スロー」な生き方をしよう、というのがスローライフのムーブメントなのでしょう。

 実際には、「スロー」な心のあり方が、「スロー」な生活や生き方を可能にするのだと思います。
 反対に、「スロー」な生活や生き方に変えることで、「スロー」な心が得られるということもあるでしょう。

 「スロー」とは、ゆるやかで心の余裕があり、一つ一つの物事に注意を払うことで集中でき、素直に感じる心があり、心が穏やかであり、ちょっとぐらいのことはラクに我慢できて、直面する問題をじっくり考え、落ちついた態度で、「質」を重んじるのでしょう。

 今やっていることの「質」、生活の「質」、人生の「質」を重んじるということは、事象的・物質的なことよりも、精神的なことではないかと思います。
 つまり、何をするか何を手に入れるかよりも、いかに楽しめるか、夢中になれるか、快いか、いい気分で過ごせるか、幸せを感じられるか、というようなことが大事なのではないでしょうか。

 今よりも幸せに暮らせるようになるために、「スローライフ」の考え方をうまく取り入れることができたらいいのではないでしょうか。



   

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スローライフ入門』カール・オノレイ

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