読書日記

  生活の中の情味を味わう

 『ほんとうの心の力』(中村天風)より、
 多くの人の特にいけないことは、生活の中の情味ということを、物質方面にのみ求めることである。生活の中の情味を味わうというのは、心の問題なので、物質の問題ではないのである。

 いかに豊かな収入を持ち、満ち足りた物質を獲ても、心が、その生活の中の情味を味わい得なければ、あるも無きに等しい。
 「情味」とは、「あじわい、おもむき」(広辞苑)。
 「生活の中の情味を味わう」とは、「生活の中で幸せを感じる」と言い換えてもいいのではないでしょうか。

 金銭的に豊かであっても、物質的に満ち足りていても、環境に恵まれていても、その人が幸せを感じて生活できていないとしたら、それらのものが無いのとあまり変わらないでしょう。

 “幸せそうな生活”と“幸せな生活”は違うのです。
 どんなに幸せそうに見える生活でも、本人が幸せを感じていなければ、その人にとっては“幸せな生活”ではないのです。

 物質や環境が豊かになっても、心が豊かにならなければ、幸せにはなれないのです。
 でも、物質や環境を豊かにしようと努力している人はたくさんいても、心を豊かにしようと本気で努力している人はそれほど多くはないのではないでしょうか。

 「心が豊かになる」とは、「幸せになる能力が向上する」と考えられるでしょう。
 たとえば、自分の幸せに気づく能力幸せを感じる能力が向上すれば、ほとんどの人は現在の(環境と同じ)生活の中でもいろんな幸せを感じられるようになれるでしょう。
 「今の生活を楽しもう/味わおう」と思えるようになるだけでも、けっこう自分の生活を楽しむことはできると思います。
 ごくふつうの生活の中でも、様々な情味を味わうことができるのではないでしょうか。

 夢や目標を愉しんで生きることができるようになれば、自分が望む幸せも得られることが増えるでしょう。
 人を愛する幸せを感じられるようになれば、愛する人との関わりの中でいろんな喜びや幸せを得られるようになれるでしょう。
 夢や愛のある生活の中で、様々な情味を味わうことができるのではないでしょうか。

 幸せに(暮らせるように)なるためには、現在の自分の生活の中で幸せを感じられるようになることがとても大切なのだと思います。



   

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