読書日記

  強大な力はいらない

 『老子』(小川環樹・訳注)をヒントに考える“幸せの道”。

幸せになる心の働きによって自分を補佐する人は、
 武器の強さによって幸せになろうとはしない。
 何かを果たしても、強大になってはならない。
 それは幸せになる道からはずれることになる。
 幸せの道に反する幸せは、すぐに終わってしまう

  (『老子』第30章「以道佐人主者、不以兵強天下、
            果而勿強、是謂不道、不道早已」)


 幸せになるための武器・道具はいろいろあるでしょう。たとえば強力なものとしては、莫大なお金・強大な権力・極めた技能などです。
 強力なものには、危険性もあります。使い方を誤まると大きい不幸を生むことにもなりかねません。

 強い力をもつと、人はどうしても使いたくなるものです。ましてや、何かにとらわれたり、欲に目がくらんだりすると、なおさら危ういのです。冷静な人でも強い力をもつと、そうなりがちなのです。
 また、自分が強い力をもっているとわかると、それを利用しようとする人も現れるのです。そのために、いろんな誘惑があるのです。
 強い力をもつと、もっと強い力をもつ人に叩き潰されることもあるのです。世の中、上には上がいるのです。調子に乗っていると、ひどい目に遭うことがあるのです。

 幸せの道を行く人は、そういう強大な力・武器はもたないのです。
 ただ自分の幸せになる心の働きがあれば、幸せになれるのです。幸せになる心の働きは自分の心に対しては強力ですが、他の人に対しては大きな力は及ぼせないのです(他の人が本当に幸せになれるかどうかは、その人(の幸せになる能力)しだい)。
 幸せになる心の働きは、それぞれの人が自分で身につけ、自分の心を幸せにするために役立つのです。

 強大な力をもつことは、幸せの道では不要であり、邪魔になるのです。
 それに、強大な力を使って手に入れた幸せは一時的なものであり、そう長くは続かないのでしょう。
 幸せになる心の働きがあれば、いつまでも幸せでいられるのです。

強力な道具は、不吉な道具でもある。
 それなりの人物はそういうものを嫌う。
 幸せの道を歩む人は、そういうものを使わない

  (『老子』第31章「夫佳兵者不詳之器、物或悪之、故有道者不処」)



   

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