読書日記

  4 遺伝の幸福(親族)

 『「裸のサル」の幸福論』(デズモンド・モリス)より、
 自らの種を再生産したいという衝動は、生き物としての強力な本能であり、うまくいけば大きな「遺伝の幸福」をもたらします。
 そのプロセスの各段階――恋に落ち、カップルを形成し、子供を作り、その子を上手にしつけていく――に、人間に原初的な幸福を感じさせる可能性が潜んでいます。
 自分と遺伝でつながる子供が生まれることは大きな幸福です。
 自分は死んでも、子孫(DNA)がこの世に残っていると思い、救われる人もいるでしょう。
 また、子孫を残すことに、自分の存在価値や存在意義を見いだすことも可能でしょう。

 遺伝のプロセスには、たくさんの幸福があります(実際には、不幸もあります)。
 恋愛中には、いろんな幸福を感じられることがあるでしょう(恋愛の悩みや失恋の不幸を経験することもあります)。
 結婚前後は、人生の中で最も幸福を実感しやすい時期かもしれません。
 自分の子供が生まれ、育てていく中でも様々な幸福を感じられるでしょう(苦労もあります)。

 ただし、「遺伝の幸福」は幸福の一種であり、他にも幸福はたくさんあります
 「遺伝の幸福」(恋愛、結婚、出産、子育ての幸福)がなければ幸福にはなれない、ということはありません。
 この幸福がないと「いけない(幸福になれない)」「ダメだ(不幸だ)」のように、一つの幸福にとらわれてしまうと不幸になってしまうのです。

 人それぞれにいろんな人生があっていいのだと思います。
 ふつうに生きていけば無意識に「遺伝の幸福」を求める本能が働くのでしょう。ただ、出会いや様々な事情で「遺伝の幸福」を選択しない人もいます。
 いずれにしても、自分が選んだ人生の中で、「自分の生き方はこれでいい」と思えるように生きるように努力することが大事なのではないでしょうか。



   

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