読書日記

  2 競争の幸福(勝者)

 『「裸のサル」の幸福論』(デズモンド・モリス)より、
 これは「勝利」という標的への到達に関係しているわけですから、前項の「標的の幸福」とも近いものですが、実は決定的な違いがあります。「標的の幸福」とは、個人的なゴールに到達することです。必ずしもライバルは必要ありません。しかし、「競争の幸福」の場合、勝利とは大きな努力を積み重ねて、ライバルを蹴落とした結果なのです。
 同じ幸福を目指す人たちがいて、その幸福を得られる定員に限りがあるのなら、そこには競争が発生します。
 そして、競争に勝った人がその幸福を手に入れ、負けた人は手に入れることはできません。
 社会の中ではそういうことがたくさんあります。常に競争のために生きているような人も多いのではないでしょうか。

 競争の場合、勝てる可能性のあるものに参加することが大事でしょう(達成可能な目標をもつことが肝心)。
 それには、ライバルのレベルと競争率を考えてみるといいでしょう。ライバルと自分の実力の差はどのくらいか、自分の努力しだいでライバルに勝てる可能性はどのくらいあるか。ライバルが多数の場合には競争率がわかれば勝てる可能性を考えられるでしょう。

 あとは、自分がどのくらいの可能性にチャレンジするか、決断の問題です。
 勝てる可能性が低くても、自分がチャレンジしたい、それ相応の努力を続ける決心がある、たとえ負けても後悔しない、のような強い気もちがあれば、チャレンジできます。
 反対に、少しでも負ける危険性があると、負けを恐れてチャレンジしないのは、自分のためによくないでしょう。チャレンジしなければ何も得られないのです。チャレンジすれば得られる可能性があるのです。たとえ、何回か負けたとしても、努力した分実力がついて、次の競争に勝てる可能性が高まるはずです。競争を避けてばかりいると、自分を弱くし、ますますチャレンジできなくなのではないでしょうか。

 競争には勝つこともあれば、負けることもあります。
 負ければ、一時的に不幸になるのはしかたがありません。でも、それを“いい経験”や“バネ”にしてその後に競争に勝てれば、人生の中では「幸福な経験だった」と考えられるのです(不幸を幸福に変える)。
 自分の実力をつける(自分を育てる)ことを考えれば、競争に失敗はなく、競争に参加することはいつも成功と考えられます。競争を避けてばかりいることがいちばんの失敗でしょう。

 勝てる可能性のある競争に参加することを続ければ、きっと勝って幸福を得られることがあるはずです。
 勝てる可能性の高い競争も探せばあるはずです。たとえば、人よりちょっと頑張れば必ず得られる幸福や定員がたくさんの幸福や(多くの)人とは違う幸福の競争に参加すればいいのです。
 自分に合った幸福を求めて、その競争に参加することで、時々幸福を手に入れられるようになれたらいいのではないでしょうか。



   

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