読書日記

  持つ人物とある人物

 『生きるということ』(エーリッヒ・フロム)より、
 持つ人物が持っているものにたよるのに対して、ある人物はあるという事実、生きているという事実、そして抑制を捨てて反応する勇気がありさえすれば、何か新しいものが生まれるという事実にたよる。
 「持つ」ことを大切にするか、「ある」ことを大切にするか、ということです。
 英語では、「I have ○○」か「I am ○○」かです。

 たとえば、“幸せ”について考えてみると、自分が何かの幸せを持っていることが大切か、自分が幸せであることが大切かということでしょう。
 「持つ」幸せには、それを持った(得た)時の幸せと持っている幸せがありますが、多くの人は自分が望んだもの(事・人・物)を得た時には幸せを感じますが、持っているものにはやがて慣れたり、当たり前と思ったり、忘れたりして幸せを感じられなくなってしまいます。
 「ある」幸せは、それが自分のものでなくてもあることを幸せに思えるし、もちろん自分が持っていることに幸せを感じられます。何もなくても、自分が今「ある」こと、生きていることを幸せに思えます。

 「持つ」ということは、何かを望んだり、求めたり、保持したりします。それ自体はいいことだと思います。
 ただし、その思いが強すぎてとらわれてしまうと不幸になりがちです。望むものを今持っていないことを不幸に思ったり、求めすぎたり、持っているものを失うことを怖れすぎたり、・・・。

 今「ある」ことを大切にすれば、目の前の出合いを大切にすることで、何か新しいものが生まれるかもしれません。
 何かにとらわれない自由な心と勇気があれば、その可能性は高くなるのでしょう。

 「持つ」ことと「ある」ことをヒントに、幸せについていろいろ考えてみたいと思っています。



   

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