福を惜しむということの重んずべきと同様に、福を分つということもまた甚だ重んずべきことである。福を惜しむあまりに強欲になり、幸福を独占しようとすると、それ以上幸福になることは難しくなるのではないでしょうか。
分福とは何様(どう)いうことであるかというに、自己の得るところの福を他人に分ち与うるをいうのである。
惜福ということが間接に大利益をなして、能く福を惜しむものをして福運の来訪に接せしむるが如く、分福ということもまた間接に、その福を分つところの人をして福運の来訪に接すること多からしむるのは、世の実例の示して居ることである。
次の日の日記 『努力論』幸田露伴 ホームページ |