読書日記

  分福の工夫

 『努力論』(幸田露伴)より、
 福を惜しむということの重んずべきと同様に、福を分つということもまた甚だ重んずべきことである。

 分福とは何様(どう)いうことであるかというに、自己の得るところの福を他人に分ち与うるをいうのである。

 惜福ということが間接に大利益をなして、能く福を惜しむものをして福運の来訪に接せしむるが如く、分福ということもまた間接に、その福を分つところの人をして福運の来訪に接すること多からしむるのは、世の実例の示して居ることである。
 福を惜しむあまりに強欲になり、幸福を独占しようとすると、それ以上幸福になることは難しくなるのではないでしょうか。
 むしろ、自分の福を人に分つことで、自分の福が増えるのでしょう。

 自分の福を人と分かち合う、自分の福を人に分け与えることで、相手が幸福になれば自分もうれしいでしょう。
 相手が自分に何らかの福のお返しをくれることもあるでしょう。

 自分と同じ福を分けなくても、相手に別の幸福を与えることもできるでしょう。
 自分の幸福(の気もち)を力に相手を幸福にすることができれば、それも「分福」と言えるのではないかと思います。

 人を幸福にすることは、自分が幸せになる方法の一つだと思います。



   

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努力論』幸田露伴

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