読書日記

  「楽しいこと」と「楽なこと」

 『「ゆっくり」でいいんだよ』(辻信一)より、
 楽なことが楽しいとは限らない。便利で楽なことがかえってぼくたちの楽しさをうばってしまうこともある。
 そして、楽しいことが、難しかったり、複雑だったり、面倒だったり、時間がかかったりすることはよくある。そればかりか、難しくて、複雑で、面倒で、時間がかかるからこそ、楽しい、ということも珍しくない。

 だから、ぼくたちはやっぱり、「楽しいこと」を「楽なこと」から区別しておいたほうがいい。
 ファストな「楽」を手に入れるために、スローな楽しさや気持ちよさを犠牲にしないようにしよう。
 「ラク」と「楽しい」は別のこと。
 ラクで楽しいこともありますが、ラクでも楽しくはないこともつまらないこともあります。
 反対に、難しくても、大変でも、苦しくても、楽しいことはあります。

 「ラク」や「便利」は、「苦しい」や「不便」から考えると「幸せ」でしょう。でも、それを幸せに感じられる人は少ないでしょう。
 また、「ラク」ばかり「便利」ばかりが続くと、「当たり前」になり、「幸せ」と思えなくなりがちです。
 さらに、「ラク」ばかりしていると、自分を弱くしてしまい、その結果として苦しむことが多くなってしまうのではないでしょうか。

 『使ったところが強くなる 頭でもからだでも
  その反対 使わぬところは』 相田みつを

 『子どもを不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも、なんでも
  手に入れられるようにしてやることである』 ルソー

 『ラクしてカッコよければしあわせか
  逆に骨を折ることは不幸か』 相田みつを

 価値あるものを手に入れるためには「ラク」ではない努力が必要でしょう。
 でも、その結果それなりの「幸せ」を得ることができます。努力しないで得られる幸せは少ないでしょう。
 また、努力を楽しむことも工夫しだいで可能だと思います。

 『No pain, No gain

 『楽しんでやる苦労は、苦痛を癒すものだ』 シェークスピア

 また、頑張った後の「ラク」はけっこう「幸せ」に思えるものです。

 『もっとも平安な、そして純粋な喜びの一つは、
  労働をした後の休息である』 カント

 「努力する時には一所懸命にやる(できれば楽しんで)」「楽しむ時には大いに楽しむ」「ラクする時には、ゆっくりとくつろぐ・休む」ことができたらいいのでしょう。

 この3つの配分をどういうふうにしたら自分が幸せかを考え、自分の生活・生き方を選んでいけたらいいのではないでしょうか。
 たとえば、今の自分の生活に足りないのは3つのうちのどれかを考え、それを少し増やすことを考えてみるといいかもしれません。



   

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「ゆっくり」でいいんだよ』辻信一

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