読書日記

  節約した時間はどこに?

 『「ゆっくり」でいいんだよ』(辻信一)より、
 テクノロジーはつねに、時間を節約することをめざす。時間を節約すれば、その浮いた分の時間をぼくたちはもっと楽しくて有意義なことのために使える、というわけだ。

 だが実際にはどうだろう。
 このぼくたちの忙しさはいったいどうしたわけだ?
 節約した時間で「時間もち」になるどころか、ますます「時間貧乏」になっていくではないか。
 わたしたちのまわりにはいろんな物やサービスがあって、便利で快適に暮らせるようになっています。(もし無かったら、不便なもの・不快な思いをするものがけっこうあると思います)
 それはテクノロジーの進歩によるところが大きいのでしょう。

 テクノロジーはわたしたちの労力と時間(テマとヒマ)を節約するために大いに役立っています。
 ただし、それが幸せに結びついているか、というと必ずしも「YES」とは言えないのでしょう。

 「時間がない」「忙しい」「疲れた」などと日常的に言っている人は、あまり幸せを感じられないでしょう。
 幸せを感じるためには心の余裕が必要でしょう。
 節約した分の時間やエネルギーが余裕につながればいいはずなのですが。

 心に余裕がもてないのは、わたしたちの心の中にも「時間の節約」「効率優先」の考えが根づいているからかもしれません。
 「もっと、もっと」と求めていては、節約で生まれた余裕もすぐに埋めてしまうことになるでしょう。
 「モア・イズ・ベター」の考えは捨てたほうがいいのではないでしょうか。

 心に余裕がもてないのは、将来への不安が強いからかもしれません。
 心に不安を生み出しているのは自分の考えです。あまり不安にならないような(幸せになる)考え方を身につけることができるといいでしょう。

 ところで、わたしたちは時間や労力を節約できたら、何に使いたいのでしょうか?
 有意義なことのために使えたらいいのでしょうが、有意義なこととはどんなことでしょうか?
 それがわからなければ、せっかく節約した時間やエネルギーもムダになってしまうのではないでしょうか。



   

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「ゆっくり」でいいんだよ』辻信一

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