「幸せについて」
その1 幸せって何?
そもそも「幸せ」って何でしょうか?
ふつう「幸せ」と言う場合には、「幸せの対象」か「幸福感」のいずれかを指しています。「幸せの対象」とは、夢や目標の達成/愛の獲得/何かを手に入れること/何かを経験すること/何かまたは誰かの存在/望ましい生活のスタイルや状態/生きがいなどです。「幸福感」とは、幸せの対象によって感じられるものです。
神谷美恵子さんが『生きがいについて』(みすず書房)の中で、「生きがいという言葉の使い方には、生きがいの対象と生きがい感のふた通りがある」ということを書かれています。
「生きがい」を「幸せ」に置き換えても同じことが言えるのです。
幸せの対象があっても幸福感を得られるとは限りません。
たとえば、いい家に住んでいる人や、金持ちの人や、成功をした人や、素敵なパートナーがいる人などの、人から見たら幸せそうな人でも本人が幸せを感じているかどうかはわかりません。
「どんなに幸せそうに見える人でも、本人が幸せだと思っていなければ、その人は幸せではない」のです。
実際に「幸せそうな幸せでない(不幸な)人」がたくさんいるのです。
私は、「幸せそうな幸せでない人にはなりたくない」と思っています。幸せ(の対象)を持っていてもその幸せを感じられなければ価値がないと思うのです。人がどう思おうが、環境や物質に恵まれていようが、自分が幸せを感じられなければ意味がないということです。
私たちは実はすでに「幸せそうな人」なのかもしれません。今の日本に暮らす人は、過去の日本に生きた人や他国で暮らす人からは、おおかた幸せそうに見えるのではないでしょうか。
「幸せな人生だったと言えるように生きたい」という人がいます。死ぬ前に「幸せな人生だった」言えるのなら、生きている途中でも幸せを感じられたほうがいいでしょう。そのほうが死ぬ前にも「幸せな人生だった」と自信をもって言えるのではないでしょうか。
また、「あとから考えるとあの時は幸せだった」というようなこともあります。だったら、その時々に幸せを感じられなかったのはもったいないのではないでしょうか。
幸せの対象を得られるように努力するというのも幸せになるためのアプローチ法ですが、自分がすでに持っている幸せや出会う幸せをより感じられるように心がけるというアプローチ法もあります。前者のアプローチだけをしている人が多いような気がします。
幸せの対象を得るために「現実を変える」努力と、幸せを感じられるように「自分の心を変える」心がけと、どちらが幸せになり易いのでしょうか?
幸せになるためには、両方のアプローチをするのがよさそうです。
「幸せとは、幸せを感じられるもの(または、こと)」とも言えます。
自分が幸せを感じられることはすべて自分の幸せです。
幸せは人それぞれ。自分の幸せについての基準は自分の幸福感で決めればいいのです。
幸せになるためには「幸福感を大切にする」ことが重要だと思うのです。
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