読書日記

  忘れているもの

 『持たない暮らし』(下重暁子)より、
 忘れていたものが出てきて、「あら、これも使えそう」と思っても、断ち切ることにしている。「使えそう」と思って、しまってしまうと、また忘れてしまう。
 忘れるということは心に残っていない。自分の心の一端を占めるものではないのだから、なくてもすむのだ。
 ほんとうに大切なもの、愛するものは、決して忘れはしない。
 忘れていたものが出てくることはあるでしょう。目につかないものは時間がたてば忘れてしまうものです。
 それが(どこかに)あることは記憶していても、生活の中で意識することがないのは忘れていたということでしょう。
 忘れて生活していたということは、なくてもすむものなのでしょう。

 「いつか使えそう」「いつか使うかもしれない」のような“いつか”はまず来ないのでしょう。長い期間忘れて(使わずに)いたものは、なおさらです。
 「使えそう」という思いを断ち切って、捨てたほうがいいのかもしれません。
 あれば使えるが、なくてもかまわないものがけっこうあるのではないかと思います。
 「もし本当に必要になったら買えばいい(でもまずない)」と覚悟すれば、捨てられるでしょう。

 忘れていたものの中には、いずれ確実に使うものも、また使いたくなるものもあるでしょう。
 そういうものは、これからの使い方を具体的に考えて、いつこういうふうに使おう、と予定がたてられるといいのではないでしょうか。
 忘れていた大切なものを再発見して、活用できたらいいのではないでしょうか。



   

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