読書日記

  下山の時代

 PHP12月号の『明日への思い』は五木寛之さん。
 絶望の時代ではなく、これからは下山の時代なのだと考えたほうがいい。
 頂上という季節に別れを告げ、穏やかに山を下りていく。そこには、登っていく時には見えなかった風景が広がっています。
 と同時に、自分自身の来し方も振り返ることもできる。そういう意味で言えば、下山の時こそが人生における充実した時間とも言えるのです。
 先が見えない時代、希望がもてずに暗い気もちになっている人も多いのでしょう。
 中には、絶望に近い人もいるのでしょう。
 絶望と考えるよりも、下山と考えられるといいのかもしれません。

 上りがあれば、必ず下りがあります。
 頂上に達したら、あとは下るしかありません。
 上ることしか考えられない人は、下ることに耐えられずに、もがき苦しむことになるのでしょう。
 でも実際には下るのです。頂上ばかりを見て後ろ向きに下るのは、悲しいだけでなく、危険でしょう。

 下山の時と考えれば、下る道のりをいかに歩もうかと考えることができます。
 上る時には目の前の斜面(時には壁のように感じた)と遠くに見える頂上しか見えなかったものが、下る時にはいろんな風景が見られるのではないでしょうか。上る時には一生懸命だったけど、下りのほうがラクだし、楽しんだり今までの行程を振り返ったりする心の余裕もできるのではないでしょうか。

 人生の中でも上りと下りがあるのでしょう。
 どこかで“下山の時”と心を切り替えて、充実した時間を過ごせるようになれたらいいのではないでしょうか。



   

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