読書日記

  人の幸福はその方向にある

 『自分を生かす人生』(本多静六)より、
 幸福は、自己の欲望が以前に比較して満足すべき状態だと感じる感情であるから、幸福はまたその生活程度の向上に伴うものであるということができる。だから、自分の育った家の生活程度すなわち出発点から自己の努力でしだいにその生活が向上することによって幸福となり、低下すれば不幸と感じる。
 いったい人生の幸福は、現在の生活程度自体よりはむしろその生活の方向が上り坂か下り坂か、上を向くか下を向くかで決定せられるものである。つまり、人の幸福は出発点の高下によるのでなく、出発後の方向のいかんにあるのだ。
 幸福は、自分の生活(環境・状況)を自分の心がどう考え・どう感じるかによって決まります。
 自分の生活が向上することで幸福度がアップすることもありますし、自分の心が成長することでも幸福度はアップします。
 ですから、幸福になるためには、生活内容を向上させるアプローチと自分(の心)を育てるアプローチがあると思います。両方の努力を平行してできればいいのだと思います。

 ただし、幸福度はその人の心が感じる幸福感によりますから、心の成長は欠かせないと思います。どんなに生活が向上しても、幸福感を感じられなければ、その人は幸福ではないのです。
 生活の向上には限りがあると思います。ある程度以上を越えると、幸福度はそれ以上アップしないような気がします。むしろ、飽きて幸福を感じられなくなったり、欲が強くなって不幸になったりして、幸福度がダウンしてしまうのではないでしょうか。
 一方、心を育てるのに限界はなく、幸福への道に終わりはないと思います。それは、生涯幸せになっていける、常に今がいちばん幸福、ということです。

 自分を育てる努力を続ければ、「一年前に比べたら、少しは幸福に暮らせるようになれた」と、きっと思えるでしょう。
 ということは、「(このまま努力を続ければ)これからも少しずつ幸福になっていける」とも思えるのです。そう思えるのは、とても幸福なことだと思います。
 人生の幸福で重要なのは、幸福度の方向なのではないでしょうか。



   

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自分を生かす人生』本多静六

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