読書日記

  存在する奇跡と謎

 『14歳からの哲学』(池田晶子)より、
 「存在する」ということは、奇跡だ。存在するあらゆることが奇跡であり、したがって謎なのだという絶対の真理を手放さないのであれば、君は、これからの人生、この世の中で、いろんなことがあるけれども、悩まずに考えてゆくことができるはずだ。
 そのためにこそ、人間には、考える精神があるんだ。考えたいけどうまく考えられない、そういう人だって、かまわない、生(ある)と死(ない)の謎を感じて、その謎を味わいながら、大事に人生を生きてゆけばいい。
 広い広い宇宙の中、長い長い時間の大河の中、「今、ここ」に「自分」が存在するということは、奇跡的な(確率の)ことです。
 同様に、今存在するあらゆることが奇跡、と考えられます。
 その奇跡は「有り難い」ことであり、そのことに心から感謝できる人は、それだけで幸せを感じることができるはずです。

 有り難い奇跡ということは、不思議であり、謎である、とも考えられます。
 その謎に興味をもって、物事をよく見、よく考えてみれば、謎の一端を味わうこともできるのでしょう。
 たとえば、生と死、有ると無いについて、よく考えてみれば、その謎を少しは味わうことができるでしょう。

 自分の生命があること、自分が生まれたこと、自分が生きていることの価値を知り、自分(の体・心・人生など)を大切にできるようになれれば、もっと幸せになれるのではないでしょうか。
 さらには、自分のまわりに存在するものの価値を知り、すべてを愛することができるようになれば、さらに幸せになれるでしょう。

 人間には考える精神がある。それが自分自身とそのまわりのものから幸せを見いだし、自分の心を豊かにしてくれる。
 すぐにはうまくできなくても、幸せになろうと考える精神を育てていけば、少しずつ幸せに暮らせるようになっていけるのではないでしょうか。



   

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14歳からの哲学』池田晶子

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