「存在する」ということは、奇跡だ。存在するあらゆることが奇跡であり、したがって謎なのだという絶対の真理を手放さないのであれば、君は、これからの人生、この世の中で、いろんなことがあるけれども、悩まずに考えてゆくことができるはずだ。広い広い宇宙の中、長い長い時間の大河の中、「今、ここ」に「自分」が存在するということは、奇跡的な(確率の)ことです。
そのためにこそ、人間には、考える精神があるんだ。考えたいけどうまく考えられない、そういう人だって、かまわない、生(ある)と死(ない)の謎を感じて、その謎を味わいながら、大事に人生を生きてゆけばいい。
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