読書日記
悲しみを分かつ
PHP9月号の特別企画は『「悲しみ」の乗り越え方』。
アルフォンス・デーケンさん(哲学者)は、
「共に喜ぶのは二倍の喜び、共に悲しむのは半分の悲しみ」というドイツの諺があります。
部屋に籠もって独りで苦しんでいると、悲しみは増すばかり。この世で苦しんでいるのは自分だけだと思いがちです。
悲嘆が続けば、やがては心も身体も病んでしまいます。
悲しみは吐き出し、苦しんでいるのは自分だけではないと知ることで、心は救われるのです。
自分の悲しみを吐き出せる相手がいる人は、それだけでも幸せなのではないでしょうか。
人に話すことで、悲しみを溜め込まずにすみ、自分の考えも整理できてくるでしょう。
相手の同様な経験が聞ければ、苦しんでいるのは自分だけではないと知ることができ、心が落ちつくでしょう。
死別の悲しみを吐き出せる相手がいない人は、亡くなった大切な人と話せばいいのではないでしょうか。
「千の風になって」(作者不詳/訳詞新井満)には、次のようにあります。
『秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る』
死んだ人はどこにでもいる。いつでも話をすることができる。・・・このように思えたらいいのでしょう。
そして、自分にとって大切な人が願っているのは、自分が幸せに暮らすことであって、いつまでも悲しんでいることではないはずです。
いつも自分を見守っていてくれる。苦しい時には応援してくれる。困った時にはきっと手助けしてくれる。・・・などと、考えてもいいのではないでしょうか。
真に大切な人は自分の心の中に生き続けることができるのだと思います。