読書日記

  楽しめる欲望を燃やしなさい

 『ほんとうの心の力』(中村天風)より、
 欲望には、燃やしてりゃ燃やしてるほど苦しい欲望と、燃やしてりゃ燃やしてるほど楽しい欲望と、二色あるんだよ。
 かなわない欲望を心に描くと苦しいんだ。
 本当の欲望というのは楽しい欲望のことで、欲しがりゃ欲しがるほど楽しいのが本当の欲望なんだ。

 だから、すべからく楽しめる欲望を炎と燃やしなさいと言いたいんであります。
 そうするとその欲望を燃やしゃ燃やすほど、何とも言えない、人生が豊かなものになるんだよ。
 燃やせば燃やすほど苦しい欲望の一つは“かなわない欲望”でしょう。
 かなう可能性がないものを追い求めてもしかたがないでしょう。少しでもかなう希望がもてるのならいいのですが、まったく希望がもてないようでは苦しいだけでしょう。求めれば求めるほどつらくなってくるのではないでしょうか。

 でも、可能性があるのに自分で勝手にあきらめてしまうのはよくないでしょう。100%可能性がないことは、人は望まないのかもしれません。可能性がないと思ってしまうのは、今の自分にまだ希望をもつ能力が足りないのかもしれません。

 実際にはかなうか、かなわないかはわからないことがほとんどでしょう。ある程度やってみて、本当にダメだと思ったら、あきらめて他のものを求めたほうがいいでしょう。
 求めるのが苦しいだけで、どうしても希望がもてない場合には、「これはかなわないことではないか?」と考えてみたほうがいいのではないでしょうか。

 燃やせば燃やすほど苦しい欲望のもう一つは“自分の心が本当は望んでいない欲望”だと思います。
 たとえば、人の目や世間体ばかりを意識したものや、誰か他の人の望みや期待に応えようとしたものです。
 そういうものを求めようとしても、やる気や活力なども湧いてこないでしょう。うまくいかないことがあると、乗り切る力もなく、めげてしまいやすいでしょう。

 反対に、燃やせば燃やすほど楽しい欲望とは、かなうことが期待できて、かなうことを想うと幸せの予感を感じられるものではないかと思います。
 努力の過程を愉しめることなら、なおいいでしょう。

 自分の心が本当に望んでいるものを知り、それを命を燃やせる人は幸せだと思います。
 でも、そういうものをすぐに見つけられない人も多いと思います。
 いつまでもただ探していても見つからないでしょう。
 自分の好きなものや得意なことや感触がいいことなど、とにかく何かをやっていく中で、その先やわき道などに見つかることが多いような気がします。
 その大きな基準の一つが、楽しめるかどうかだと思います。

 心から楽しめる欲望を燃やして生きられるようになれたらいいのではないでしょうか。



   

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