読書日記
理性のワンクッション
『生き方』(稲盛和夫)より、
私たちは日々さまざまな事柄について判断を迫られています。そんなとき瞬間的に判断を下したことは、おおむね本能から(つまり欲望から)出てきた答えです。
「その思いには、おのれの欲が働いていないか、私心が混じっていないか」と自問することが大切なのです。
そうやって結論を出す前に、「理性のワンクッション」を入れると、欲に基づいた判断ではなく、理性に基づく判断に近づくことができる。
思ったことが自分の唯一の考えではありません。人間には“考え直す”という素晴らしい能力があります。
人の考えは、感情に流されたり、好き嫌いが影響したり、(隠れた)欲や望みが働いたり、思い込みや偏見に基づいたり、・・・いろんな要因でその時によって考えが違うことがあります。
その中には、自分にとって好ましくない考えもあります。
そんな時、「理性のワンクッション」を入れることで、より好ましい考えを探し・選ぶことができたらいいのでしょう。
その例が、「その思いには、おのれの欲が働いていないか?」「私心が混じっていないか」という自問なのだと思います。
私なら、「それで、自分は何がしたいのか?」「本当は何をしたいのか?」と自問したいと思います。
たとえば、人に対して悪いことを考えたときには、「相手をやっつけたいのか」「本当はうまくつきあいたいのではないか」。
たとえば、やるかどうか迷っているときには、「言い訳をしたいのか」「やりたいのか」。
たとえば、自分のミスや失敗などで落ち込みそうなときには、「自分をいじめたいのか」「自分を大切にしたほうがいいのではないか」。
そして、「では、どうしたら/どう考えたら(いいのだろうか)?」のように考えられたら、と思います。
私がいちばん実践する自問は、イヤな気もちになったときに、「不幸になる考え方(をしているのではないか)?」(答えは、いつでも「YES」)「(では今できる)幸せになる考え方は?」と幸せになる考え方を心がけることです。
他にも、「1年たったら忘れてしまうことではないか?」「求め過ぎ?」「本当? 絶対?」「なんになる?」「こんなことを考えるよりも、他にやりたいこと(やったほうがいいこと/やるべきこと/考えたいこと)があるのではないか?」「なりたい自分なら?」・・・「理性のワンクッション」を入れるのに役立つ自問はいろいろあると思います。
自分が注意したいことや大切にしたいことなどを、自分に合った表現の自問にして心がけることができればいいのではないでしょうか。
実際には、難しいことだと思います。特に、そのような自問を今までにしたことがない人にとっては。
でも、その効果はとても大きいものだと思います。
うまくできないことがあっても、あせらずに、時間をかけて、「一つ一つ、少しずつ」幸せになる考え方を身につけていけたらいいのではないでしょうか。