しあわせ日記

10月28日(土) この世に遺したいもの

 『死ぬまでにしたい10のこと』(齋藤薫ほか)の中で、横森理香さん(作家、エッセイスト)は、「私は、年をとって自分の寿命を感じ始めた頃、子供が欲しくなった」と、35歳で結婚し、子宮筋腫&不妊傾向を克服し、高齢出産したそうです。
 人は何故、自分の子供が欲しいか?
 いろいろ考えた結果、分かった。人は、死んでも生き続けたいのである。自分の遺伝子を持った人間に、代わりに生きて欲しいのだ。それが本能なのだ。
 このようなことを意識して考える人は少ないでしょう。
 でも、いのちのサイクルを考えることで、心に希望のようなものが生まれたり、死の恐怖を和らげることはあるでしょう。
 子孫がこの世に生き残るということは、自分という人間の存在の証しとも考えられるでしょう。

 同様に、自分が手がけたものがこの世に残るということも、自分が生きた証しになるでしょう。それが人の役に立つものや人に何かいい影響を与えられるものであったら、とても幸せなことでしょう。

 『死ぬまでにしたい10のこと』(齋藤薫ほか)の中では、
「この世界は生きる価値が充分にあると、読んだ人だれでもが思えるような小説を書く」(角田光代)、
「1冊だけ、好きな装丁で、好きなように予算をかけて自選作品集を編む」(谷村志穂)、
「世の中の古い考えを一掃するようなエッセイなり漫画なりを残したい」(倉田真由美)、
「たくさんの人に長い間大事にされる絵を描きたい」(MAYA MAXX)
というのが、それぞれのリストの中にありました。

 自分がこの世に遺せるもの、自分が生きた証しになるようなものを考えることが、自分の生きがいにつながっていけばいいのではないでしょうか。
 ただし、「そういうものがない(といけない)」のように、とらわれてしまうのはよくないでしょう。

 自分が幸せに生きられるようになることが、「この世界は生きる価値が充分にある」と証明することであり、自分が“よく生きた証し”と考えてもいいのではないでしょうか。



   

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