人生と生活とを区別すると、私は人生に好奇心もあると同時に、生活にも好奇心を捨てられぬ男である。 「人生とは何か」という好奇心から私は文学をえらんだ。そして小説家になった。宗教や文学を考えるようになった。 しかし人生に好奇心のある人はおおむね生活に好奇心を抱かない。あるいは抱くことを恥とする傾向があるようだ。