一時の事
「聞くは一時(いっとき)の恥、聞かぬは末代の恥」ということわざがあります。要するには、「知らないことを恥ずかしがって聞かなければ、一生恥ずかしい思いや損をする。聞くのは一時だけ恥ずかしい思いをすればいい」ということです。
一時だけイヤな思いを我慢すれば、それで済むことがあります。
人づきあいでは、自分から話かける、人を何かに誘う、好きな人に告白するなどは、「恥ずかしいのは一時の事」と考えることができます。
他にも、「つらいのは一時の事」「我慢するのは一時の事」「イヤな思いをするのは一時の事」など、いろいろな使い方ができます。一生の中で考えれば、ほとんどの事は「一時の事」と言うことができるのかもしれません。
たとえば、年に一回の事(帰郷、年中行事など)や、ごくたまにしか会わない人とのつきあいについて、あれこれと悩む人がいます。「一時の事」と考えれば、それ以外の時間に余計な心配をしなくてすみ、その場では「これも一時の事」「この時だけ」と我慢する覚悟もできます。
初めての事や慣れていない事をやる前には不安になります。人前で何かをするのが恥ずかしいということもあります。よく知らない人や苦手な人とのつきあいを考えると憂うつになることもあります。ましてや過去にイヤな経験があればなおさらです。
でもその現場が限られた短い時間で済むことだとわかっているのなら、その短い時間のために長い時間心配してイヤな思いをしてしまうのはいかがなものでしょうか。「一時の事」「なるようになる」などと考えて、今の時間を大切にしたほうがいいのではないでしょうか。
まだ先のイヤな事はあれこれ心配し過ぎてくよくよしないように、「(つらいのは/我慢するのは)一時の事」と覚悟する。その場では「一時の事だから」なんとかやり過ごす。過ぎたイヤな出来事は「一時の事だった」と早く忘れる。
人生の中ではそんなふうに考えたほうがいい「一時の事」がけっこうあるような気がします。