「幸せについて」
その22 幸せに気づく

 幸せを感じるためには、まず自分の幸せに気づけることが肝心です。
「幸せ」と言うと、自分がこれから得たいと思う幸せだけを考える人がいますが、それは今はまだ自分の幸せではありません。今幸せを感じることもできません。
「幸せ」と言うと、「大きな幸せ」しか考えられない人もいますが、それでは気づける幸せは少ないでしょう。
「小さな幸せ」にも気づけるようになれば、それだけ多くの幸せに気づけます。

 幸せに気づけるようになるためには、日頃から幸せを意識して生活することと、今自分がもっている幸せを知ることが大切です。
 幸せになりたいのなら、せっかく出会った幸せを見過ごしてしまうのも、もっている幸せに気づけないのも、もったいないと思います。

 自分の幸せにたくさん気づくための方法があります。
 もし、私があなたに「自分の幸せを紙にできるだけ書きだしてみてください。一つにつき、1万円差し上げます」と言ったら、どうでしょうか?
 10個(10万円分)や20個(20万円分)は簡単に書けるのではないでしょうか。
 時間がある方は、今すぐにやってみてください。そうすると、次の物語の意味がよくわかると思います。
 むかし、むかし、ある村に、「自分の幸せを紙に書いてきたら、その数だけ銭をやろう。ただし、ウソをついてはいけないよ」と言うヘンなおじさんが現れました。村人はこぞってそのおじさんの所に押しかけました。みんな、50個以上、多い人は300個も自分の幸せを紙に書いて持って行きました。
 ヘンなおじさんは、村人を一人ずつ呼び、紙に書いたその人の幸せを本人に確認しながら銭を渡しました。
「お前は、この幸せを感じたことが本当にあるのだな?」
「はい」と答えた場合、「お前は今、ウソをついたな。私は神様だからわかるのだ」と言われることが多く、「いいえ」と答えた場合には、「お前はウソを書いたのだな」と言われ、みんな銭は少ししかもらえませんでした。
 そんな中、一人だけ書いた数だけ銭をもらった村人がいました。その村人は正直に、いくつかの幸せには「はい」と答え、その他のたくさんの幸せには「いいえ」と答えました。「いいえ」の答えに対して、神様が「お前はウソを書いたのだな」と言うと、その村人は「ウソではございません。この自分の幸せにはきょう考えてみてはじめて気づいたのです。これから幸せを感じられるように努力するつもりです。おじさん、ありがとうございました」と答えると、神様はその村人に銭をくれたのでした。
 幸せに気づいたとしても、それを幸せに感じられるかどうかはわかりません。たとえば、「生きているだけで幸せなんだよ」と教えられても、それを幸せに思える人は少ないでしょう。
 自分の幸せに気づき、自分の幸せを知ることの次には、幸せを感じることが大事なのです。

   

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