読書日記

  年をとると欲がなくなる

 『養老訓』(養老孟司)より、
 私は年をとってよかったなと思うことがたくさんあります。
 一番いいのは、年をとると欲がなくなるということです。
 欲が人生に与える影響が小さくなる。だから、楽になる。適当なところでおさめられる。欲がないから矩(のり)を越えないで済む。

 ただし、あまり若いうちから欲を超越しているというか、煩悩が薄いというのもいささか問題です。
 若いうちに欲がある、ということは一芸に秀でることにもつながります。ある程度欲に苦しんだ経験があるほうがいいようにも思います。
 人間が不幸になるのは、欲に振り回される場合が多いのかもしれません。
 求め過ぎは不幸の元です。

 でも、人間が幸せになるためにも欲(いい言い方をすれば、望み)が必要なのだと思います。
 自分が欲するもの(事・人・物)を求めて努力した結果、得られる幸せが多いのです。
 欲のない人は、不幸にはなりにくいのかもしれませんが、幸せにもなりにくいでしょう。

 特に若いうちは、自分の欲や望みを大切にしたほうがいいでしょう。それを求めて努力して失敗したとしても、いい経験になり、その後の人生に活かすことも可能なはずです。人間としても成長できるのではないでしょうか。
 失敗を恐れて努力しない人は、成功も成長も期待できないでしょう。

 年をとるということは、それだけ何かを学べる時間と経験があったということです。
 年をとるにしたがって、自分には無理な欲はもたないようになり、自分に合った幸せを求められるようになれたらいいのではないでしょうか。

 「自分を育てよう」と心がけている人は、「1年前に比べたら少しは幸せに暮らせるようになれた」と思えるでしょう。

年をとることは 好好

 年をとる毎に、少しずつ幸せになっていけたら、いちばん幸せなのではないでしょうか。



   

次の日の日記

養老訓』養老孟司

ホームページ