読書日記

  真の教養とは心の完成をめざす

 『ヘッセの言葉』(前田敬作・岩橋保 訳編)より、
 真の教養とは、なにかある目的のための教養ではなく、完全なものへの努力がすべてそうであるように、それ自身の中にその意義をもつものである。
 体力や熟練や美しさをめざす努力が、なにかある究極目的、たとえば、われわれを金持にしたり、有名にしたり、えらくしたりする目的をもつのではなくて、われわれの生命感と自信をたかめ、われわれをより快活により幸福にし、より高い安定感と健康の実感をあたえることによって、それ自身やりがいのあるものであると同様に、「教養」すなわち、精神とたましいの完成をめざす努力もまた、なにかある限定された目標にむかう苦しい道ではなくて、喜びとはげましをあたえながらわれわれの意識を拡大し、われわれの人生と幸福の可能性を豊かにさせる行為なのである。(世界文学文庫)
 自分を高めることによって得られるもの(お金や地位や成功など)もあるでしょうが、自分を高める努力そのものに意義があるのではないでしょうか。

 自分を高めることが自らの可能性を引き出し、自分を発揮することで、イキイキと快活に生きられるでしょう。その過程で得られる幸福も多いでしょう。
 そんな自分に自信ももて、安定感も増すでしょう。そのために、いい心の状態で生活できるようになることが、さらに幸福を生むのではないでしょうか。

 自らの成長を実感できることは大きな喜びであり、心の完成をめざす努力を推進する力になるでしょう。
 自らの成長によって生まれる心の豊かさが、人生と幸福を豊かにすることにもつながるのではないでしょうか。

 心の成長につれて(さらに)幸福になれると信じ、その努力を喜んでできる人は幸福です。
 そういう人は、心の完成をめざす努力そのものに意義と幸福を見いだせるのだと思います。



   

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