今週(11月第3週)の人生相談 こうしてほしいのに

 今週の人生相談として、「こうしてほしいのに(、してくれない)」という悩みについて考えてみます。


その1 こうしてほしいと思う時

   ○○してほしいのに、してくれない。
   ××してほしくないのに、やめてくれない。
   こうなってほしいのに、変わろうとしてくれない。
   いっしょに○○したいのに、してくれない。
   自分はこうしたいのに、賛成してくれない。
   自分がしたくないことを要求される。
   同じ夢や目標を持ちたいのに、・・・

 このような場合には、どうしたらいいでしょうか?
   不満を抱えたまま、同じ状況を続けるのはつらいことです。
   自分があきらめればすむようなことだったら、悩むことはないでしょう。
   かといって、醜いケンカはしたくないし。
   またそのことのために、別れを選択するのは最後の手段です。
 なかには、長い間の不満を爆発させて、大きな不幸を引き起こしてしまう人、
長い間の不満を貯めておいて、出した答えがいきなりの別れという人もいます。

 互いの愛・幸せのためには、もう少しいい方法が考えられると思います。相手をその気にさせるお願いのしかた、上手な説得の方法、うまいケンカ(意見対立)のやり方、いい関係のつくり方、など。
 人は多分に感情で動いていますから、ものの言い方ひとつによっても、相手の考えや態度が大きく変わることがあります。

 意見対立をうまく乗り越えることで、よりよい関係が築けることもあります。
 また、まったく人の話を聞こうとしない相手だとわかれば、早く見切りをつけたほうがいいのではないでしょうか。互いの愛を育て、共に幸せになるには、不適当な気がします。

 人はみんな違う価値観と考えを持って生きています。意見の相違をうまく調整しながら幸せな関係を築けていけたら、と思います。そのためにも、工夫と努力が必要だと思います。


その2 基本的な考え方
 人に何かをしてほしい時の基本的な考え方を挙げてみます。

(1)とにかく、軽くお願いしてみる
 相手に「○○してほしい」と言わなければ、してくれなくてもしかたがありません。
 率直にお願いしてみれば、あっさりと承知してくれることだってあるのです。自分のイヤな気持ちを伝えたら、「そんなことを思ってたなんて知らなかった。早く言ってくれればよかったのに」と言ってくれることだって考えられます。
 とにかく、軽くお願いしてみて、相手の様子を見てみればいいのです。相手がしてくれるか、しようとする意志はあるか、相手の言い分があるか、など。それから、次のことを考えればいいと思います。
 何も言わないで、ひとりで「○○してくれない」と悩むのが、いちばんバカらしいと思います。言わなくてもわかってほしい、という考え方は、幸せになる考え方ではないと思います。

(2)要望は最小限にする
 人が自分の思い通りにしてくれないことがあるのは、当り前のことです。そういう部分があっても、それを受け入れられれば、問題ありません。
 どうしても許せないことに限って、相手に要望しましょう。
 そのためには、まずよく考え直し、本当に受け入れられないことかどうかを判断してみましょう。
・ 小さいことではないか? (重大さを客観的に考える)
・ 相手なりの理由や事情があるのではないか? (相手の身になって考える)
 人を受け入れる能力を高めれば、多くのことは受け入れられると思います。

 もう1つ考えることは、そのことに関して相手を変えることがどのくらい大変かを推測することです。そして、大変さと重大さをハカリにかけて判断することが時には必要です。小さなことに大きな労力を使うより、受け入れるほうがラクと考えられることもあります。
 かといって、人は絶対に変わらないと考えるのは間違いです。努力すれば変わる可能性は必ずあると思います。ただし、その大変さは覚悟して、相手に要望してみましょう。

 相手に対する要望が少ないほど、人間関係も良好になり、叶えられる可能性は高くなると思います。

(3)最終的な結論は、やれるだけ努力してみてから
 相手が大切な人なら、あきらめ(受け入れの一種)や訣別のような最終的な決定を急がないほうがいい。相手を変える努力をしないで、自分の頭の中だけで考えて結論を出してしまうのも考えものです。
 やれるだけ努力しないで結論を出した場合、後悔が残りやすいと思います。
 いい決断をするためにも、やれるだけ努力してみましょう。


その3 要望のしかた
 相手に何かをしてほしい時、自分の言い方・対応によって、相手の態度も変わります。互いの幸せのためには、いい要望のしかたをしたほうがいいと思います。

(1)言い方に気をつかってお願いする
 人に「○○しろ!」と言われたら、「イヤだ!」と言いたくなるのが人の常です。また、言われる相手(との関係)、自分の機嫌によっても、返事が変わってしまうことがあります。
 軽いお願いは、「○○してくれる?」「○○してくれると、うれしいのだけれど」のような素直な言い方がいいと思います。してくれたら、喜び・お礼を言おう。
 強い要望の場合には、真剣に率直な言い方がいいと思います。してくれないことによる自分のつらい思い、してほしいこと、してくれることが互いにとっていいことを、回りくどくならないように、簡潔に冷静に伝えたほうがいい。
 事前に、相手が目の前にいるつもりになって、何をどのように言うかをリハーサルしておくのが役に立つと思います。
 また相手の様子をよく見て、タイミングを考えることも大切です。相手の機嫌がよくない時は避けるべきです。
 そして、基本的に重要なことは、常にいい関係を保った上で、お願いをすることだと思います。「いい関係を保つ」ことについては、今月の人生相談に書くつもりです。

(2)説得の基本は、相手の話を聞くこと
 自分の要望を伝えたら、あとは相手の話を聞くほうにまわりましょう。あれこれと言葉を重ねたり、同じことを繰り返し言うのはよくありません。
 自分が言うことを言ったら、相手の言い分を十分に聞くという姿勢が大切です。一方的・強制的な要求は、相手をイヤな気分にしてしまいます。自分が提案して、共に考えるという状況がいいのです。実際には相手に考えてもらうことなのです。
 相手の言い分はまず受け入れよう。途中で相手の言葉をさえぎったり、間髪入れずに反論をするのはよくありません。特に怒りや反感が強い場合には注意が必要です。そのまま感情をぶつけたら、ケンカになるか、相手が殻に閉じこもるだけです。
 相手の言い分を全部聞き終わるまでは、反論は控えましょう。(「ハオハオ」が役に立つと思います)
 説得の有効な方法の1つは、相手に言い訳をさせておいて、その言い訳をひっくり返すことです。人はとっさにつまらない言い訳をするものです。それが墓穴を掘ります。相手の話をよく聞き、その中から説得のヒントを探すのがいいのです。
 相手の言い分を聞き終わって、その場で無理に説得するのはよしましょう。1回の説得は適当なところで切りあげることが大切です。

(3)時間をかけ、ステップを踏んで交渉する
 互いにとって重要な問題は、あせらずに時間をかけて交渉しましょう。
 一度の話し合いで相手を説得しようと無理をしないほうがいいと思います。たとえ相手を説き伏せたとしても、本気で相手が変わる気になり、実際にする気にならない限り、自分の望みを相手は叶えてくれません。その場しのぎで、「やるよ」「もうしません」「変わるから」などと言う人がいます。
 相手が本気で変わるためには、相手に考える時間を与えることも大切です。ある程度の話し合いをしたら、「少し考えさせて(できればあなたももう少し考えてほしい)」と打ち切ることも大切だと思います。そして後でひとりで落ち着いてよく考えましょう。交渉で難しいのはうまい打ち切り方です。次につなげる打ち切り方がいいのです。
 また、交渉はステップを踏むことが大切です。毎回同じ議論の繰り返しでは意味がありません。問題を1つ1つ解決していったり、部分的に要望を受け入れてもらうなどの前進を心がけるようにしましょう。

(4)どこかで線をひく
 説得を繰り返しても、必ずうまくいくとは限りません。どこかで線をひく必要が出てきます。前進しない交渉を続けても意味がなく、関係を悪化させるだけです。
 その際に1つ考えておかなければならないことがあります。それは、そのことで関係を壊していいか、ということです。この点を直してくれない人とはつきあえない、ということなら、壊れてもしかたがない、という覚悟ができます。もしその問題では壊したくないなら、どこかで妥協しなければなりません。
 このことを念頭において説得し、交渉の合間に引き際を判断しなければなりません。小さなことで人間関係を壊してしまうのは残念なことです。

 ここでは、人間関係のかけひきのような話になりました。互いの幸せのためには、必要なこともあります。人を説得する能力も幸せになる能力の1つだと思います。
 「〜してくれたら、〜してあげる」のような交換条件や、「〜してくれなきゃ、別れる」のような恐怖感をあおる説得のしかたもありますが、あまり使いたくないですね。

「説得力」(ロバート・コンクリン/訳・柳平彬/PHP文庫)という本に、次のように書いてあります。

  「他人の望むものを彼らに与えればそれだけ、
   彼らはあなたにあなたの望むものを与えてくれる」

 本来なら、互いに相手の幸せを考え、相手の好意には応える、というような愛し合う形が理想なのですが・・・


   

◇「うまく人を愛せない

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