『子どもに伝えたいこと、大人が考え直したいこと』
1.自分を助ける
苦しい時には、自分を助けてあげよう。
どうしたら苦しくなくなるか? と考えよう。
今できる、自分を助ける方法を探してあげよう。
自分だけではどうしようもなかったら、誰かに「助けて」って言おうね。
あきらめずに、いっしょうけんめいに考えれば、
きっと自分を助けることができるよ。
苦しい時やつらい時に意識して「自分を助けよう」としている人は少ないでしょう。自分を助けられる人でもそのほとんどは無意識だと思います。
自分には苦しいことやつらいことが多いと感じている人は、自分を助けようとしていないのか、あきらめが早いのか、自分を助けることがうまくできないのだと思います。
今はうまく自分を助けられない人でも、意識して努力すればできるようになれます。
「どうしたら苦しくなくなるか?」と一所懸命に自分の頭で考える、本やインターネットなどでいい考え方やヒントを探しながら考える、人に相談してみる、人に助けを求める、など。
なぜ、大切な自分を助けようとしないのでしょうか?
まずは「自分を助けよう」と意識することです。
なぜ、すぐに自分を助けることをあきらめてしまうのでしょうか?
簡単にはあきらめないことです。自分を助けられると信じることです。
なぜ、うまく自分を助けられないのでしょうか?
慣れていないからです。考えや努力が足りないからです。
あなたは「イタイ」って感じたことあるでしょ?
おなかがいたくなったり、歯がいたくなったり。
ころんでヒザをすりむいたらヒザがいたいよね。
どうしていたくなるのか、わかるかな? むずかしいね。
でもいたくなるから、体の悪いところがわかるんだよ。
だから、悪いところを見つけて、なんとかしようね。
自分ではどうにもならなかったら、だれかに「助けて」って言おうね。
きっと助けてくれる人がいるはずだよ。お医者さんもいるしね。
痛みは緊急信号や注意信号なのです。神様がつくった素晴らしい機能の1つなのです。
痛みと言ってもいろいろあります。痛みにどう対処したらいいかも変わります。
危険なものにふれてしまった時、「痛い」「熱い」などと反射的に手を引くはずです。痛いことはやめる、痛みの原因を取り除くという対処法があります。
傷を負ったら、病院に行ったり、薬をぬったり、包帯巻いたりバンソウコウをはったりします。口があいていたり治りかけの傷はいじってはいけません。
負傷してしばらくは痛みが残ります。ある程度はガマンしなくてはなりません。何かに夢中になることで痛みを忘れられることがあります。
ケガをした時には栄養と休息の大切です。それが自然治癒力を働かせ、治りを早めます。冷やしたり温めたりしたほうがいいケガもあります。
リハビリをしたり鍛えることで、早く健全な生活ができるようになります。
大きな負傷は傷痕として残ることがあります。傷痕がうずくこともありますが、気にしないほうがいい。傷痕をつっつくと、痛いし、傷口が開いてしまうこともあります。
病気になった時にも様々な症状があります。体調不良も様々な感覚でわかります。
健康で快適に生活するためには、痛みや症状や悪い感覚に早めに気づき、うまく対処することが大切です。このようなことは当たり前のことかもしれません。
では、心が痛い時にはどうでしょうか?
あなたは、「心がイタイ」ってわかる?
じゃあ、心が苦しいってわかる?
じゃあ、誰かに叱られて泣いたことある?
体のどこもいたくないのに、泣いちゃったことあるんじゃない?
それは、たぶん、心がいたかったから泣いちゃったんだよ。
心がいたいのは、心の悪いところを教えてくれているんだ。
だから、悪いところをみつけて、なんとかしようね。
自分ではどうにもならなかったら、だれかに「助けて」って言おうね。
きっと助けてくれる人がいるはずだよ。
体のお医者さんがいるように、心のお医者さんだっているんだよ。
体の痛みに対処するように、心の痛みにもちゃんと対処したほうがいいのです。
苦しんでいる問題を解決できれば、それに越したことはありません。一所懸命に考えれば、いい方法や考え方が見つかるかもしれません。
痛みを伴う「何かをやめる」という選択肢もあり得ます。
心の病気や大きな問題では病院に行くことも検討してみたほうがいい。
心の痛みも、ある程度はガマンが必要な場合もあります。心の痛手を忘れるために夢中になれるものに打ち込んでみるのも1つの方法です。
心の傷を癒すには楽しいことをする時間や、ゆっくり休む時間も大切です。頭を冷やしたり、心が暖まるようなことをするのもいいことです。
問題を繰り返し考えすぎたり、悪く悪く考えたりしてはいけません。それは、傷口をいじったり、傷痕をつっついたりして自分を痛めているようなものです。
自分の心を鍛えること・育てることも大切です。
心が痛い時・調子が悪い時・弱っている時に、何もしないで放っておくのは自分を大切にしていません。自分を責めるのは自分を傷つけているようなものです。
しっかりと心の対処法を考えて、実践したほうがいいのです。自分を大切にするために。
あなたは困ったときに「助けて」って言える?
「助けて」ってなかなか言えない人って多いんじゃない?
どうして言えないのかなぁ?
はずかしいと思うから? カッコ悪いと思うから?
言っても助けてくれないと思うから? 人にめいわくをかけたくないから?
まだガマンできるから? 自分を強くするため?
ほんとうに困ったときに「助けて」って言うのは、
はずかしいことでもカッコ悪いことでもないんだよ。
話を聞いてくれて助けてくれるやさしい人が、きっと、いるはずだよ。
ひとりでガマンしたり頑張ったりするのも立派なんだよ。
でもね、自分や人を傷つけそうになったら、
絶対に「助けて」って言わなきゃダメだよ。
自分の問題に真っ向から取り組んで解決できるように努力したり、多少のことは我慢して頑張ったりできるのは、すごくいいことです。それはいい経験にもなり、自分を育てることにもつながります。
でも、自分だけではどうにもならない事や時があります。
「人に助けを求める」というのも1つの方法です。
その前に「人に相談する」という方法もあります。人に話すことで、ラクになれたり、考えが整理できたりすることがあります。相手からいい方法やヒントをもらえるかもしれません。
人に助けを求める時には、自分の気もちを率直に伝えることが肝心です。「このままでは自分が××してしまいそうだから、助けて」と言えば、きっと助けてくれる人がいるはずです。
1人がダメでも次の人に助けを求めればいいのです。いちばん大切な自分を守るためには、あきらめずに助けを求め続けることです。
たとえば、学校での「いじめ」の場合。暴力/恐喝のような犯罪行為を伴うものや、クラス全体の大がかりなものなど、過酷な「いじめ」に1人で立ち向かってもどうにもならないことがほとんどでしょう。そういう時には助けを求め続けるしかないような気がします。担任がダメなら、学年主任、校長、教育委員会へ。信頼できる先生(保健室の先生やスクールカウンセラーなど)、いじめ110番などの相談窓口、警察。親、頼れる大人、力になってくれる友達。いろんな人・所に助けを求め続ければいいのです。
本当は、相談された親が大切な子供を守るために、いろんな人・所になり振りかまわず全力で働きかけ続けべきだと思います。
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