入院

 93年の9月、バスケットボールの練習中にアキレスけんを切って、約2カ月間入院しました。私にとっては、生まれて初めての入院経験でした。そして、それは私の人生の中で、非常に大きな経験でした。
 いろいろな人との出会いがありました。
 入院当初の2人部屋で同室したのは、有名なラグビー選手でした。身長191センチ・体重100キロの巨漢でしたが、たいへんやさしくしてもらいました。私が手術で縫った箇所の抜糸の際に、貧血をおこして病室に戻って休んでいたときに、彼は売店で栄養ドリンクとヨーグルトを買って来てくれました。そのとき私は、彼の気持ちがとてもうれしかった。彼には、他にもいろいろと親切にしてもらいました。
 2人の当時70歳のおじいさんと特に親しくなり、いろいろな話を聞かせてもらいました。1人は和菓子屋の方で腰痛で入院しましたが、若い頃からいろいろな病気にかかって苦労したそうです。最近は奥さんと日本全国を旅行するのを楽しんでいるそうです。もう1人は鳶職の方で肺ガンで入院していました。2人には、昔の話や人間の生き方についてなど、いろいろな話を聞かせてもらいました。2人の話で共通していることがありました。それは臨死体験の話でした。1人は心臓の病気で、もう1人は交通事故で死の直前まで行ったと言っていました。そして、2人ともが「お花畑を見てきた」と言いました。2人とも覇気のある素敵な方でした。
 その他にも、スポーツに打ち込んでいる高校生や大学生、学校の先生などとも知り合いになり、いろいろな話ができました。
 医師や看護婦の仕事は尊敬に値するものでした。その忙しさと気遣いは、大変なものだと思います。また、様々な患者の人に対する看護婦の態度には感心しました。時にはやさしく、時にはきびしく患者に接していました。
 入院で一番迷惑をかけ、世話になったのはやはり家族です。感謝しています。また、遠くまでわざわざ見舞いに来てくれた友人たちの存在をとてもありがたいと思います。
 入院中は、昼間は主にリハビリをしていました。多くの本も読みました。「幸せになる方法」も書いていました。そして、いろいろなことを考えました。
 退院後には、自分の生き方を考え直してみよう、何か新しいことを始めてみよう、「幸せになる方法」をまとめてみよう、と考えました。