未来潮流「"癒し"のゆくえ」

    NHK教育テレビ・1月25日

 文化人類学者・上田紀行さんが"癒し"についてレポートした。
 日本でも癒し(ヒーリング)ビジネスが盛んだという。その手の本も多く出版されている。ヒーリンググッズもいろいろある。心地の良いイスやベッドと映像(単なる光を使ったものもある)や音楽を使った機器が開発され、それらを使ったリラクゼーションルームのようなものが各地にできている。様々な講座、セミナー、道場、ワークショップなどもたくさんある。

 精神家医の香山リカさんは「テレビゲームにも"癒し"の効果があるのではないか」と言う。上田さんは「孤独をまぎらわしているだけではないか?」と問う。対して香山さんは「そのとおりだが、自分も含めて現実に救われた人がいる。私のところにはそこでしか救われない人たちが多い」と言う。

 アメリカではシャーマニズム研究が最近行なわれるようになった。
 インディアンに伝わる儀式や風習に含まれる"癒し"の効果を研究し、それを用いたヒーリングを行なっているレスリー・グレイさん。彼女のところには、弁護士やコンピューター・プログラマーといった人が多く訪れるという。しかし、グレイさんは言う。「物質と精神、どちらに片寄ってもいけない」。グレイさんのヒーリングを実際に体験した上田さんは「従来の欠陥をうめる癒しではなく、互いに力づけ合う癒しを感じた」と言った。

 作家の新井満さんは言う。「欠落感や心の傷(トラウマ)をなくすことはできない。一時的に忘れることはできても。逃げてはいけない。逃げるといつまでたっても追いかけてくる。対峙する[存在を自覚する]、友達になる[全面的に受け入れる]、お願いする[希望を言葉にする]のがいい」([]内は私の解釈)
さらに「心の傷(トラウマ)は人生の中では大きな出会い、美しいものとなる」

 "癒し"に必要なものは「愛」だと思う。私は「愛」とは「人を幸せにすること」と同等だと思っている。そして始めに必要な愛は自分に対する愛だと思う。それは自分を幸せにすることだ。そのためには自ら幸せになるように生きることだ。